夜道歩きはほどほどに 後編2 ページ6
「全く同感だな。」
前触れなんて一切なかったというのに、
突如現れたその気配。
「「…。」」
あ、追いつかれた。
そう声を出す間もなく、
柱間は扉間によって首根っこを
掴まれ逃亡を阻止される。
「兄者、いつまで逃げるつもりだ。
そんな事をしても書類仕事は減らんのだぞ。
一向に増えるだけだ。
すまないA、兄者が迷惑をかけたな。」
助けて貰ったし、
こちらとしては迷惑ではなかったんだが…
暫く目の前でわちゃわちゃと揉める
二人を眺めていたが、
ふと気になる点があった。
「俺は博打がしたいんぞ！！頼む！扉間っ！！」
「良い加減にせんか！」
扉間が怒るその声にはいつもの威勢がないように感じる。
それに彼の白髪、白い肌と相まってかなり隅も際立ってしまっており酷くやつれて見える。
「扉間、何かお前、
会議の時よりも隈酷くなってないか？」
「…あ、あぁ…わかるのか？」
目元を触りながらそう言う彼の表情には
いつもの刺刺しさがない。
こいつ…かなーり疲れている。
「会議の時はただ
化粧で隠していただけだ。」
「…ふーん。」
どうやって…と聞かずとも
私だって何となくわかる。
今この時代では前世でもメイク道具なんて物は存在せず、ある物といえば白粉くらいなのだ。
だから元から色白な扉間の肌であれば
目元に女性用の白粉を塗ったとしても
隅隠し程度の効果を発揮するのだろう…
「一応、俺は医療やってる身だから
聞いてみるけど…
お前、何日くらい寝てないんだ？」
「…なの、いや…四日ほどだな。」
「…、」
今、こいつ七日って言おうとしてたよな…
私のように体力が無限にある訳ではないのに、彼は一睡もせずにずっと一週間働き続けていると…
はぁああ……それに比べてこの茶髪は。
「？？なんぞ？」
ジッと見ていた私を
不思議そうに見つめ返してきた柱間。
「何ぞ？じゃねぇだろ。お前。」
弟に仕事押しつけて遊ぶとか
とんだクソ兄貴じゃねぇか。
「扉間。その仕事って火影だけしか
見ちゃいけない機密だったりするか？」
「？？いや、そんな事はないが…」
聞いている意図がわからないと
首をコテンと傾げる扉間。
「よし！」
私は袖を捲り上げる。
「その仕事、
お前の代わりに俺が手伝ってやる。
勿論、柱間のお守りも任せてくれ。
言う事を聞かせる。」
「？！」
どうせ明日の朝までずっと暇なのだ、
ボーっと過ごすよりかは書類仕事をした方がずっと人生効率的だ。
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