裏話＊ ページ49
お話の途中で申し訳ありませんが…
一章に一話の裏話コーナー！
ここで入りまーす！
さてさて…
今回は懐かしいその人…
「クソ親父」こと、
Aの厳格非道お父様のお話を二篇に分けて
話していきたいと思いまーす！！
と言うか主に、
お父様の過去ストーリーです。
全く今の本編には関係して来ませんが
彼があの人になるまでの道のりを、
そして完璧であるはずの彼が
常日頃持っていた苦悩を書きました。
どうぞ、お楽しみあれ〜！
ーーーー
「ーー様はうずまき始まって以来の
神童とも呼ばれるのでしょう？」
「それに比べて兄の方はそこそこですって…
それでも後を継ぐのは彼なのかしら？
折角のーー様の才能を
潰されるおつもりかしら？」
「勿論、一族の今後を考えれば弟の方だけど…今までずっと長男が継いで来たのよ？
それを変えるのはどうかしら…」
毎日のようにそんな話が自分の耳に届く。
「はぁ…」
こんな狭苦しい事しか考えられない家に
嫌気がさした。
庭に飛び出して自分よりも
高い背丈の人を見つけた
その瞬間、
その言葉は口からいつのまにか出ていた。
「兄上！」
「お！ーーか！」
そう言って俺の方を振り向くと見える
兄のいつもの笑顔。
彼の腰に飛び込むようにして抱きつく。
「こらこら、ーー、はしたないぞ？
そんなに急いで来なくても
俺は何処へも逃げないというのに。」
そう言いながらも俺の頭を
優しい手つきで撫でる彼。
父上にも、
腹を痛めて俺を生んだ母上にすらない
その暖かさは…
この俺だけのものだった。
「ーー、どうした？
何か嫌な事でもあったのか？」
「っ？！そ、そんな事は。」
「んー？その表情は嘘をついているな？
俺にはお見通しなんだからな？」
兄だけはこの俺の唯一の理解者。
たとえ俺より何もかもが劣っていようとも
目の前のこの人が
俺の「兄」であるという事実は
絶対で、何も変わる事はなく揺るがない。
「何かあったら俺に言え。
俺だけは何があっても、
お前の味方だからな。」
あぁ…この人だけは何も変わってくれない、
とそう子供ながらに心底安心した。
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