懐かしの国へ 前編 ページ46
A視点
アカデミーの門から出た直後、
「あ！Aさん！」
外で一人待機していた
アキトが私に近寄ってきた。
「あれ？
今日の視察ってアキトだけだっけ？」
本来であれば私とアキト、角都の三人で
実際の土地と見取り図などから
色々と資金面を考える予定だったのだが…
どうしてか肝心な角都が見当たらない。
「あ、すいません。
角都さんは火の国には行きたくないって言って…」
「え？なんで？」
「わ、かりません…
でも本当に来たくなさそうだったので。
それに何も言わなかったんですけど、
なんか彼なりの事情がありそうでしたし…」
「そうか…まぁ、
何もなしに駄々こねる奴じゃないもんな、
あいつ。」
角都は私がスカウトするまでは
暗殺業をやっていた身。
「まぁ、いいや。
なんとかなるだろ。」
きっと、何かしらの事情があるのだろう…
それこそ火の国の火影暗殺を
請け負ってしまった過去…みたいなのが。
「今朝見てみたんだけどかなり広めだから、
新しい施設を建てるには丁度良いと思う。」
「はい、僕もAさんが
アカデミーにいる間に確認しておきました。」
「お、そうか？
仕事が早いな、アキトは。
何処ぞの火影と違って…」
「火影って…一人しかいませんよね？」
「ハハハ、そうだな。
でもこの頃、土影、水影とか…
後は雷影とか色々出てき始めたんだぞ？
火影に乗じてな？
柱間もこのまま、
うかうかしてられんな。」
「確かに、それは言えますね。」
火の国は…
まぁ、最強と謳われる忍者が二人もいるんだ、
どちらかと言えば私として
心配なのはカルマ率いる渦の国の方だ。
カルマは世渡り上手に見えて
実はそうじゃない、
貧困層の子供たった二人に
心が揺さぶられてしまう程に
柔な部分もあるのを私は知っている。
「カルマ…の所に…渦の国に、
いつか時間がある日に行ってみるか？
アキト？」
驚いたかのように
アキトは目を見開いた。
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