怪しい行動 前編2 ページ30
「何を送ったのだ?」
「え?それ…まだ聞くの?」
話が終わったのかと思えば、
どうやら違うらしい…
「悪いけど兄さん、また後でね。
今、これからアカデミーの事で
扉間の所に行かないと行けないんだ。」
「またか。」
そう言ってすごく不機嫌そうな顔をする兄さん。
俺だって別に好きで
千手の所に行く訳でもない。
だけど、Aが柱間に署名するようにしかけてくれたこの計画を忠実に実行するのが自分の…このうちはイズナとしての役目なんだ。
「何を、」
「だからそれは本人に聞いた方が早いよ?
別に此処から病院、そう遠くないし…
兄さんの足だったら直ぐだから。」
「だから、何故俺が聞きに
行かねばならんのだ!?」
これを拗るに拗らせてしまわないか、
あまりにも不安だった俺は兄さんの代わりに先手を討つことにしたのだ。
それで、あの手紙を渡したのだが…
いや、実は手紙と言うか、
色々とすっ飛ばして兄さんの釣書なのだが…
Aの事であればあれを読んだ瞬間に
大慌てで火の国まですっ飛んで来そうと言うのに
この頃、どうしてか音沙汰不明だし…
本当に両者揃って意味がわからない。
あまりにも奥手過ぎる二人の仲は
全く進行する様子は見えないので、
先が思いやられる。
「じゃあ、行くね。」
「おいっ、」
兄さんの声を背に、
聞こえないふりして僕はうちは邸を早足で出る。
あまりにも恋愛の事に関して鈍い兄さんは
絶対にわざわざAの所まで
行って聞きに行く度胸なんてないだろうし…
釣書を渡したなんて
俺から兄さんに言った時には
きっとこっちがどえらい目に会う事が
見え見えなので、言わない事にする。
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