アキトの苦悩 後編 ページ22
「信じられない。
危機感無さ過ぎなんじゃないですか?」
「まー、大丈夫だろ。
信頼できるやつだぞ?」
実は嫌がる事前提であれを彼に出したのだが、
案外すんなりしていた。
彼曰く、裏切り裏切られる事が無いよう
それくらい契約はきっちりしていた方がいいらしい…
現実主義者ばかりではなく
合理主義者でもあるわけだ、
そんな彼が暗殺してきただけで
信頼におけないと決めつけるのは良くない。
「だから、そう言うところですよ!!Aさん!!」
「ん?何が?」
「その、すぐに人を
信用しちゃう所です!!」
そんなに人を信用しているわけでも
無いとは思うのだが…
信頼する人はちゃんと選んでいるつもりだ。
「それがAさんの
美点でもありますけど…
近づいてくる人全員がAさんみたいに
善意がある訳じゃないんですからね!!
ちょっと、聞いてますか?Aさん?」
ぷりぷりと怒る彼に
私は反対にほっこりとした気分になる。
ここまで私と言う人間を
心配してくれている、
なんて優しい子なんだろうと…
「ふふ、なんかアキト
俺のお母さんみたいになってんな。」
そう、私に説教をする彼の姿は
どこか私の母親のように見える。
私の「お母さん」はそこまで怒る人
でもなかったのでこの体験も
中々新鮮に感じるな。
「なっ、お母さんって!
Aさん、僕は真剣に話してるんですよ!」
「あまり眉間に皺寄せてると跡になるぞ?」
「Aさん!!」
「…。」
あまり彼を揶揄い過ぎてもいけない。
「悪かったよ、アキト。
これから気をつけるから…」
彼に眉を下げて、
少し寂しい雰囲気を出しながら謝る。
「ッ、わかってくれたなら、
僕もいいんです…少し心配だっただけですから。」
(案外、ちょろいモンだな…)
「Aさん、暗殺の件は絶対に
霞さんに言わないでくださいよ!
聞いた瞬間、
失神してしまうかもしれないので…」
「うん、わかった。
お前と俺だけの内緒話な。」
「…、いつもだったら嬉しいですけど、
今回はなんか喜べませんね。」
「ハハハ、悪かったって。
でも、同じ側近として来てもらうから…
アキトとは何かと
交流があるかもしれないな。」
「側近…ですか
はぁ。その時は…その時です。
でもAさん、僕はその人の事
Aさんみたいに信用出来ませんからね?」
「まぁ、過去は過去で、
今は今だからな。」
「Aさんは吹っ切れ過ぎです。」
彼は箒を取りに行くと言い残し
退室して行ってしまった。
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