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父親の存在 後編2 ページ45

少しの沈黙の後、
彼は突如ガシッと私の両頬を
片手で掴むと自分の顔擦れ擦れに近づけた。

「ん?いや、貴様…
記憶が読めない?

何処かこの俺と似た雰囲気も持っているな?」

そう言うと彼は私の首元に顔を近ずけて、
あろう事かスンと匂いを嗅いだのだ。

「なっ?!は?!」
恥ずかしさか後ろに大きく後ずさる。

「あぁ、いや…違うな?
お前は…」

私を尻目に彼は
ゆっくりと口角を上げると、
真っ白な歯を見せた。

「そうか…そうか、
お前が俺を受け継いだ器か。」

「器…?」

「ククク、」

何が面白いのか、
彼は陽気そうにケラケラと笑い始めた。

「ハハハ、お前が代わりか!
人間の、お前が!

俺の目も随分と濁ったものだ!

しかし、まさかこんな所まで来るとは…
俺の二代目は随分と粋な事をする。」

急に意味がわからない事を口走る彼。

「何だ?
俺に何か用があってわざわざ、
時を超えて来たのであろう?

聞いてやろう、
俺は今すこぶる機嫌が良いからな。」

「何の用って…」

私を過去に飛ばしたのが彼だと
そうふんだから此処に戻って来たものの
その言い方からして何も知らなさそうで、

私は今度こそ頭が痛み始める。

「それで何の用だ?童。」

「何の用?

用…最初から用なんて何もねぇよ。
それに二代目って…なんだよ…」

「…?」

何も知らないその事実に
どうしようもなくイラついた。

彼が全ての元凶であると言うのに…

今の彼が何も知らない事は
当然と言えば当然なのだが、
そんな事を考えられる程
今の私の頭は冷静ではなかった。

「貴方が私を此処まで飛ばしたんだろ!

おかげでこちとら
野宿しないといけない状況になったんだよ!
どうにかしろよ!

それに父親とかなんとか、
お前のせいで色々とこっちは
今まで苦労させられて来たんだよ!

それで何も知らない?!ふざけんなっ!!」

一呼吸で此処まで言い切って私は、
はぁはぁとあ荒々しく息を吐く。

ふとこの時、的場の言葉を思い出す。

感情をコントロールする事…

ハッとして手を見ると、
案の定、
そこには黒い羽が浮き出て来ており、
両目が熱を持っているかのように感じた。

私を覆う恐怖 前編→←父親の存在 後編



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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます!全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので!これからも頑張ります! (2020年11月7日 6時) (レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます!初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年11月5日 22時

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