喧嘩という訳でもない 前編 ページ33
赤く腫れた目を擦りながら、
私は何処かもわからない道のりを歩く。
勿論、学校にも行く気が起きず、
歩き疲れた私の目の前に現れた古びた小さな神社のような場所に足を踏み入れる。
片隅にひっそりと存在していた大きな楠の大樹に腰を下ろすと、息を一つ吐いた。
「どうしてだろう…」
途中まであれほど感情的になっていたと言うのに、今ではそれもほとんどなく落ち着いていた。
いくらか冷静になった頭で私は考える。
「酷い事…しちゃったんだろうなぁ、私。」
的場の事はもう嫌いなんかじゃない、
寧ろマシな方になって来たはずだ。
それなのに、あの時の冷静じゃない私は
彼を呪おうとした。
祓い屋をやっていた身として、
呪いと言う物自体の非道さを知っていたというのに…
そして的場自身、
先祖がした約束から呪われた事もあり、
彼もその重みを重々理解しているだろう。
絶対に、許してくれない…
「あー、私ってやつは。」
頭を掻きむしって私は取り返しのつかない事に頭を悩ませる。
今更何を言っても遅いのだ。
そして私にはもう自信がない。
母親としてれいじ君を守りたいなんて少しでも思っていた自分が今となっては、
とんだホラ吹きに見える。
故意ではないにせよ、
ちょっとしたことで彼を傷つけてしまう、
そんな恐怖感は拭えず私の中に疼いていた。
「ごめんなさい…
本当に…ごめんなさい…」
そう口ずさんで私は
何度も何度も一人謝っていた。
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おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» コメントありがとうございます!全然気にしないでくださいね。皆さんに見てもらえるだけでも嬉しいので!これからも頑張ります! (2020年11月7日 6時) (レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - 二章目おめでとうございます!初めの一票取れませんでした………。これからも頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年11月6日 22時) (レス) id: d448052499 (このIDを非表示/違反報告)
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