心の真実 前編 ページ28
美しく笑う親子が二人、
眩い太陽が照らす田舎道を歩く。
「母さん、今日も綺麗な空だね。」
「えぇ、そうね。」
ボロボロの服、
所々に擦り傷さえある彼女達。
でも彼女達の顔には笑顔が、
幸福が溢れていた。
「僕、楽しみだなぁ！
はやく生まれて来てくれないかなぁ！」
「ふふふ、そんなに急かしちゃ駄目よ。
気長に待ってあげなきゃ。」
一日一日を幸せに暮らす彼女達は
もうすぐ一人新しい家族を迎える。
その、筈だった…
「いやぁああああ！！」
大粒の涙を目にためて、
母親は自分の息子に覆い被さって、
咽び泣く。
彼女のもう一人の息子は
村の人達の暴行の末に
その命を落としたのだ。
「泣くんじゃねぇ！！仕方ねぇだろうが！
ろくに自分らで生きていけねぇくせに、
一人前に子供こさえやがって！
子供二人分やる食いもんなんて
この村にはねぇよ！」
「ぎゃははは！
別にいいんじゃねぇか？
一人は死んだが、
もう一人生まれてくるんだ！
こいつも自分の弟のために、
死んだってんなら泣いて喜ぶだろうさ！」
そう言って、死んだ息子を足で
乱暴に蹴る一人の男。
「うっ、」
その光景を見て、
今にも吐き出してしまいそうな嫌悪感に
襲われた母親は口を押さえる。
彼女の心は擦り切れすぎた…
その瞬間、
自身の股の間から
暖かい液体が出てくる感覚と共に
腹に激痛を感じた。
「…、あぁ…だ、だめ…
まだ、出て来ちゃ駄目よ…お、お願い…」
彼女はその感覚を知っていた。
流産…
もう一人の、
息子か娘すらもわからない、
子供も今、ここで死んだのだ。
絶望感、虚無感、悲壮感…
そして、憎しみ。
言い尽くせない限りの感情が、
一人ぼっちの彼女を襲った。
人をやめて鬼になるか、
だなんてどうでもよかった。
子供達の為に、
自分が何かをしてあげたかった。
ただ、それだけ…
「ごめん、ごめんねぇ…
ちゃんと産んであげられなくて…
本当に、本当にごめんねぇ…
私、貴方達を
母親として守ってあげられなかった…
貴方達と…私、
一緒に死にたかった…」
最後の暖かい光で全てを思い出した彼女は、
涙をポロポロこぼす。
「いいんだよ、お母さん。」
柔らかな触り心地の手が、
そっと自分の頬を撫でた。
「…！」
「お母さんが僕たちの事、
とても愛してくれたから…
僕達は幸せだったんだよ。」
その声を聞いた瞬間、
彼女はこの世界から塵も残さず消え、
一人旅立った。
自分の息子達がいるその場所へと。
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豆腐の角(プロフ) - おぼろんさん» いえいえ！こちらこそこれからも宜しくお願いします(*´▽｀*) (2020年12月26日 12時) (
レス) id: 3eaaa3cc5d (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» メリークリスマス！豆腐の角さん！いつもありがとうございます！ネットの中だけどほぼ本当の友達のような感覚で私自身とても嬉しいです。これからも宜しくお願いします！ (2020年12月25日 15時) (レス) id: 77abd71179 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - おぼろんさん！メリークリスマスです！これからも楽しみです！頑張ってください (2020年12月25日 14時) (レス) id: 3eaaa3cc5d (このIDを非表示/違反報告)
豆腐の角(プロフ) - あ、誤字っちゃいました(--;) (2020年12月25日 14時) (レス) id: 3eaaa3cc5d (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - 豆腐の角さん» 本当ですか？！そんな事言って頂けるだなんて、とても嬉しいです！俄然やる気が湧いてきます！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年10月18日 7時) (レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
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