Spring day【JK】 (ページ23)

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グクの見つめる先に、ヒヤッと背筋に冷たい電流が走る。

...しまった。再会にのぼせて、もう取り返しは付かない。

グクが見つめる先にあるのは、初めてグクとお揃いで買ったキーホルダー。と、その隣に並ぶ“ 婚約指輪 ”

私が5年間隠し通した秘密を、グクは感情の読み取れない表情で、ただ見つめていた。

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私の父は大手芸能事務所の筆頭株主、兼アイドルの衣装を扱うファッションブランドの社長だ。

幼い頃から衣装の提供に向かう父に連れられて、スタジオやテレビ局には足をよく運んでいた。

そして、必然的にショーで歌って踊るアーティストたちを見て「将来私もアーティストになりたい！」と幼心に夢を見続けていた。

けれど、その夢は高校一年生の時に呆気なく壊された。

父の紹介で入った芸能事務所の練習生になり、日々ハードなレッスンをこなしてデビューを目指していた。

ある練習の帰り、15時間のダンスレッスンに眩暈がさし、練習スタジオの階段から転げて、意識を失った。

目を覚ますとそこは白い壁が一面に広がっていて、病院と認識するには時間がかからなかった。

「嗚呼、私倒れたんだ」

体を動かそうとすると、脚が、動かない。

病院の白い壁が、一気に黒く見えた。

医者と両親に告げられたのは深刻な靭帯損傷。

日常生活は普通に送れるくらい歩けるが、それ以上の運動は不可能という事。

口の中に冷たい鉄の味が広がった。

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