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廉にとっては待ち遠しい体育の授業の時間。
女子のほうが早く終わったので後片付けをしていると
合同で教わっている隣のクラスの女子とか
次の授業でグラウンドを使う生徒達などが
ボールを蹴って走る廉とそれを止めようとする海人に
みんな夢中になっていた。
私も動きを止めてその様子を見る。
二人は敵チームで争いながらも笑っていた。
周りからは二人を応援する声が飛び交っていて
注意することなく先生達も試合を観戦している。
そんな緩くて和やかな雰囲気の体育の時間が終わり
外の光で暖かくなっている教室に戻った。
「 あっちぃ〜 」
海人は黒のタンクトップ姿で席に着くと
ワークを団扇代わりにして風を送り始めた。
「 Aも風送って 」
「 あー、俺にも 」
後ろから廉も風を要求してきたので
交互に風を送ると「 いいわ〜涼しい 」と海人。
廉は「 授業中も頼むわ 」と無茶振り。
「 海人にしかやんなーい 」
「 出た彼氏扱い 」
「 本当じゃん 」
「 待ってAと廉が話してるの初めて見た 」
海人は口元に手を当てて茫然としている。
「 しかもめっちゃナチュラルに 」
「 じゃあもっと堅苦しくしたほうがいい？ 」
なんて私の冗談に首を横に振って
「 いつのまに仲良くなってんだよ〜！ 」
廉に向かって笑いながらふざけてそう叫んだ。
「 教科書貸してもらう仲なんで 」
「 んーー、次から俺が貸してあげるよ廉くん 」
「 一緒やしどっちでもええけど(笑) 」
「 決まり！俺はAの教科書見て授業受ける！ 」
二人の会話はチャイムが鳴るまで続いた。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月13日 18時
