私のキョウダイ (ページ21)

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元々帰る約束をしていた海人に嘘をついて

呼び出された廉と一緒にいる姿を見られたら

絶対に疑われるだろう。

だけど何もやましいことはしていないし

事情があって一緒に帰るわけだから仕方ない。

自分にそう言い聞かせて「一人？」と問いかける。

「後輩と一緒。Aも一人？」

「あー… 」

海人がいる奥のほうで会計をしている廉に

チラリと視線を送ったことに気付いたのか、

「誰？」と言いながら振り向いて廉を見ると

「うぇ！廉じゃん！」と袋を持つ彼に驚いていた。

「お、海人」

「廉呼び出し食らったんじゃなかった？」

「まあ。それ終わったらAがおったから

何となく一緒にコンビニ寄った」

「何だよそれ！…で何買ったの？」

袋の中身が気になった海人は廉がスイーツを買った

事実に何故かツボって声を押し殺して笑い始める。

「ええやん俺が何買ったって」

「そ、そうだけどさ、何だろ、意外だな～って」

目尻の涙を拭いてひとつ息を深く吐いた。

「海人は誰と来たん？一人？」

「ん？後輩。今トイレ行ってる」

「男子？」

「 …Aには申し訳ないんだけど訳ありで女の子」

小声で囁く海人は両手を合わせてごめんと言った。

「好きの感情は皆無だから！安心して！」

「いいよ。その代わり廉と帰っても怒らないでね」

「大丈夫、怒んない」

約束の意味を込めてなのか謎に握手をしていると

駆け足でやってきた後輩の女子が海人に声をかけた。

正直私より可愛くてスタイルもいい彼女は

私を見ると小さく会釈して海人の腕を引っ張った。

「 A、行くで」

それを見てから私の左手首を掴み

出入り口に向かって歩き出す廉に引っ張られ、

気まずい状態でコンビニから脱出した。

海人が私に声をかけることは無かった。

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