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その日の夜。
お風呂から上がって明日の準備をしていた時。
扉をノックする音が聞こえたかと思うと返事する間も無く
ジャージ姿の廉が入ってきた。
「 返事してないんだけど 」
「 ごめんて。な、明日の課題見して 」
勉強机の椅子に座って机の上を物色し始める。
「 学校で終わらせてきたからここには無いよ 」
「 はー？残ってた理由ってそれやったん？ 」
頭を抱えて残念がる廉にドンマイと肩を叩けば
「 明日見してや。絶対やぞ 」
「 分かったって。じゃあ明日に備えて寝てください 」
無理矢理立ち上がらせて扉に向かって背中を押す。
「 待って。俺に何か聞きたいことないん？ 」
くるっと向きを変えて私の両肩に手を乗せ、
「 な？あるやろ？聞きたいこと 」
半ば強制的に攻められたので渋々
「 放課後告られた相手とはどうなったんですか 」
と感情を込めることなく問いかけてあげた。
「 フりました 」
「 だろうね 」
知らない人に告られた結果なんか聞かなくても分かる。
「 仮にその子がめっちゃタイプやとするやん。
それでOKしたら絶対俺遊んでるって思われるよな？
そうなるって思わへんもんなん？女の子代表 」
「 女の子代表としては廉の気持ち考えないで言うかな。
フラれてもいいから後悔しないように告ろう精神 」
「 だる 」
「 まあいいじゃん？モテモテな人生歩みたいよ私も 」
「 海人おる限り無理やろな。諦めろ 」
フッ、と口角を上げてポンポンと肩を叩くと
「 てことで明日課題よろしく〜 」
と言い残して部屋を出て行った。
海人の存在がとても愛おしく思えてきた。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月13日 18時
