今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:44,314 hit
小｜中｜大
それは、雨の日。
魔女の森に張られた結界が破られた。
次に調伏していた呪霊の一体の気配が消えた。
「…！」
目を瞠った。
魔女は手元にあった肩掛けを無造作に掴み、鍵もかけずに家を出る。
走った先。
そこにいたのはずぶ濡れのガキ。
「……また 粗大ゴミのように捨てられてしまったのかしら？」
ガキというには大きすぎた背丈の青年だったが、魔女は訂正しなかった。
「違うよ」
その声色も。記憶の中にある高い声ではなく、大人びたものに変化していた。
「迎えに来た」
言葉遣いも、幾分か大人になったのか。それとも隠しているだけなのか。
それは、魔女にもわからない。
けれどその言葉が偽ったものでないことは、その蒼い瞳を見れば理解できた。
「そう…」
雨音の中の沈黙。
幻聴か、本当にそう聞こえてるのか。
不思議と相手の息遣いが聞こえるような気がした。
特段と、嫌な空気ではなかった。
「雨の日にプロポーズなんて、相変わらずセンスのないこと」
「うっせ」
むしろ懐かしくて、ムズ痒くて。
魔女は減らず口を言う。
それにガキも懐かしさを覚える。
「で、返事は？」
「えぇ、そうね…」
「ちょうど、退屈していたのよ」
完
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
174人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
迷子を拾った魔女と魔女に拾われた迷子 ページ21
それは、雨の日。
魔女の森に張られた結界が破られた。
次に調伏していた呪霊の一体の気配が消えた。
「…！」
目を瞠った。
魔女は手元にあった肩掛けを無造作に掴み、鍵もかけずに家を出る。
走った先。
そこにいたのはずぶ濡れのガキ。
「……
ガキというには大きすぎた背丈の青年だったが、魔女は訂正しなかった。
「違うよ」
その声色も。記憶の中にある高い声ではなく、大人びたものに変化していた。
「迎えに来た」
言葉遣いも、幾分か大人になったのか。それとも隠しているだけなのか。
それは、魔女にもわからない。
けれどその言葉が偽ったものでないことは、その蒼い瞳を見れば理解できた。
「そう…」
雨音の中の沈黙。
幻聴か、本当にそう聞こえてるのか。
不思議と相手の息遣いが聞こえるような気がした。
特段と、嫌な空気ではなかった。
「雨の日にプロポーズなんて、相変わらずセンスのないこと」
「うっせ」
むしろ懐かしくて、ムズ痒くて。
魔女は減らず口を言う。
それにガキも懐かしさを覚える。
「で、返事は？」
「えぇ、そうね…」
「ちょうど、退屈していたのよ」
完
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢 - 完結おめでとうございます〜！わよ、とかのよ、とかそう言う口調苦手でしたけどこの夢主ちゃんはなんか可愛くて好きでした！後日談とか五条先生視点で見てみたいと思ったりもしました!素晴らしい作品を書いてくださりありがとうございます！ (2020年12月6日 13時) (
レス) id: ba5583f0b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：自宅警備員先生 | 作成日時：2020年11月27日 18時
