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22. ページ23

ストンっと腰が抜ける。
御国が居るという事だけで、Aの心は少なからず軽くなった。


今回は御国の知り合いだったから止めてくれた。

だが、これがあのC3とかいう訳の分からない機関なんかに捕まっていたら。

思わず息を呑む。
想像しただけで、吐き気が込み上げる。

「…っは……はぁッ……」と無意識に呼吸が乱れる。


すると、「Aちゃん。」と耳に残る優しい声色で名前を呼ばれた。

まるで今この世界には自分と彼しか居ないような。
彼は自分だけを見ていてくれるような。

そんな感覚。


御国は、ゆっくりとAの頬から髪へ手を伝い、優しく手を下ろす。

Aも、何で触られているかは分からなかったが、つい御国の綺麗な琥珀の瞳をじっと見つめてしまっていた。


「…御国さん?」

国「……あぁ、Aちゃん。こいつの名前は…もう聞いたよね。」

「え?あ、あぁ…まぁ…。」

国「ジェジェが今紅茶入れてるから、先に行ってて。ちょっとこいつ叱んなきゃだし。」

「わ、かりました。御国さんも早く来てくださいね。」

国「うん。」


そう言って、鏡を押して店内に戻るA。

後ろ姿を見送って、聞き耳を立てられていないことも確認すると、ヨハネスが御国に話しかけた。



ヨ「……ふーん、随分信頼されてるみたいだねェ。」

国「ヨハン、お客様を驚かせるなって何度も言ってるでしょ?」

ヨ「好きなの?あの子の事。」

国「…人の話聞いて?」

ヨ「へぇ…あのみくみくに想い人ねェっ…。」

国「っだから俺は、そんなつもりじゃ…!」



珍しく声を荒らげた自分に、自分自身が一番驚く。



違う。

あの 純粋で優しい眼差しは。

どこか、血の繋がりのない弟に似ていて。


それが愛おしいなんて馬鹿げている、

はずなのに。


今胸の中にある感情に名前をつけるのなら、

それは正しく愛情で。









国「…まさか。そんな、ね。」


ヨ「………へぇ……。」




.

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中村千尋(プロフ) - 更新頑張って下さい!!とても続きが気になります (2019年5月19日 21時) (レス) id: a991a170a0 (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - 悠希さん» ォア”ア…夢主ちゃん褒められること中々ないので、凄く嬉しいですっ…こちらこそこれからも飽きずに読んでやってください! (2019年3月14日 11時) (レス) id: 8c1d057699 (このIDを非表示/違反報告)
悠希(プロフ) - 夢主ちゃんのふとみせる純情さがとても可愛いです!更新頑張ってください! (2019年3月13日 13時) (レス) id: a3d85731e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みゅーぽむ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月17日 11時

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