百二一 ページ21
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ついた時には少し明け方だった。
日はまだ出ていない。久しぶりだな。
「…まあアンタは適当に降ろすけど、後から無理矢理連れてくからね。んじゃ、またね」
城の端の縁側に自分を降ろすと忍は颯爽と消えた。こんなに簡単に入られて大丈夫なのだろうか。
それにしても、ここは城のどのあたりだろうか。自分でもそんなに回ったことがない為分からない。そっと足音をたてないように廊下を歩いていく。
誰も通らない。流石に警戒体制無さすぎでは無いのだろうか。
「は、母上？」
「うわっ」
唐突に後ろの庭から声がして、情けない声が出てしまった。そっと庭に目を向けると、目を疑うほどに成長した奇妙丸が立っていた。幼い頃の面影はほとんどないに等しいが、何故か気付けた。母と呼ばれたからではない。
「…奇妙丸か。幾つになった」
「20です。今は信忠です」
こんなに時が流れたのか。自分だけ取り残されているような気分だった。信忠は少し微笑んで、言葉を続ける。
「弟や妹が増えました。みな母上に会いたがっていました、是非会って…」
「信忠、私は直ぐにここを出る。すまない、信長の所へ案内してくれないか」
信忠は目を見開いて、悲しそうに眉を下げ手をだらんと下げた。自分の先を行く信忠の背中は信長に追い付くぐらい大きく、立派だったがなにかが足りないようなそんなふうに見えた。
「母上、この信忠めを恨んでいますか」
「恨むも何も、お前も守ることが出来たなら私は悔いてない」
「…申し訳ありませぬ、母上」
背を向けながら、涙まじりの声に胸が痛くなる。
「大丈夫だ、生きてさえいれば私はいい」
振り向かずに進む背中を追い掛ける。そして、見慣れた一室の前に立ち止まった。そこには幸が立っていた。
「A様…でいらっしゃいます…か？」
あまりの驚きように少し笑みが零れてしまった。頷くと、黙って静かに障子を開けた。
「まだ目は覚まされていませんが、」
「大丈夫だ、すまないが少し部屋から離れてくれ。隣の一室の前で構わん」
幸は快く了承してくれた。
戸を閉めると、部屋は隅に埃が見えた。何故掃除がされていないのだろうか。
まるで使われていない部屋のようだ。その中にポツンと布団が敷かれて信長が眠っていた。
「信長、帰ってきたぞ」
汗一つかいている様子もない。息をしているのが救いだ。死んでいるかのように静かで冷たい。
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愛之助(プロフ) - そうです《自主規制》のひとりごとです＾＾ (5月21日 19時) (
レス) @page39 id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - ま、まさか……薬〇のひとりごと……！？ (5月21日 19時) (レス) @page39 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - 玲さん» 作品の目次ページにボタンとCSSて書いてあるとこでオフにして貰えたらノーマルになるのでお願いします〜🙏💦 (2022年7月10日 21時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - すいません。とっても面白いんですけど背景のせいで文字が見にくいです。 (2022年7月10日 20時) (レス) @page39 id: be882aa841 (このIDを非表示/違反報告)
なーーみ(プロフ) - 愛之助さん» もう本当に感謝しかないです（ ; ; ） ありがとうございます。 これからも頑張ってください。応援してます！！ (2021年5月17日 22時) (レス) id: af11d71d69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：大手裏剣
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年9月29日 1時
