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「男色?アンタ御館様のそんなことまで知ってんの?」
飄々とした忍が怪しむような顔で言った。
…自分が男とバラしたのと同じじゃないか…ん?違う、怪しまれてるからそういうことじゃない。御館様?うううん、と少し唸って、ある答えにたどり着く。この押し倒してる人間は、…いやこんな所にいるはずないだろう。
「…武田信玄…?」
「ま、参ったな。正体を明かすつもりはなかったんだが、」
冷や汗だらだらで、股間を抑えながら自分から退いた。どうやら本当に武田信玄だったらしい。
なんでここにいる?真田幸村がコイツの所に行ったはずではなかったか。というか、もう床に伏して死ぬ寸前ぐらいの時期のはず。
「そのうち気付くに決まってるでしょう」
「うむ…、織田の帰蝶の方。俺は甲斐の虎、武田信玄。晴は晴信という諱からだ。
比叡山より御苦労。織田のことは考えず、貴方は歓迎するよ」
やっと、改まったようだ。なんだが、昨日今日で色々なことが起きすぎている。比叡山焼き討ち、想定外の刺客、信長の重症、武田の人質、信玄登場。
「…よろしく頼む」
「うむ、で君現代人だね?」
…何故現代人などという言葉を知っている。真田信之か?あの者は恐らく現代から来たか、現代人の記憶を持ってあの身体になっている。
「それについて私が何を受け答えをしたかによっては解放する気はないのか?」
「否、どちらでもいいさ。
もう自分は死んだ者とされているからな。民は大切だが、時の流れを変えるなんて、許されないことだ」
まるで、自分を非難されているような気がした。もうこの時代は狂い始めてる。恐らく、織田信行を生かした時から、そして招いた結果自分の失踪と信長の想定外の刺客。確かに、許されない。歴史を塗り替えてはいけない。
「…信玄殿、今度二人だけの時にお話いたしましょう」
「然り」
すると、忍らと武田信玄は出ていった。一気に緊張がとけてはあぁぁとどっと息を吐いた。
「死ぬかと思った…後ろの忍の殺気尋常じゃねぇよ…こっわ………___信長、大丈夫かな」
畳の上に寝転がって、天井を見つめた。ああ、このまま眠れそう。
「随分とだらけてますね」
唐突に視界に入り込んだ白髪。そしてこの声は真田信之。急いで、起き上がろうとして、手で制された。
「結構です、疲れているでしょう。このままで話させていただきます」
「…いや、流石に座る」
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愛之助(プロフ) - そうです《自主規制》のひとりごとです^^ (5月21日 19時) (レス) @page39 id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - ま、まさか……薬〇のひとりごと……!? (5月21日 19時) (レス) @page39 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - 玲さん» 作品の目次ページにボタンとCSSて書いてあるとこでオフにして貰えたらノーマルになるのでお願いします〜🙏💦 (2022年7月10日 21時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - すいません。とっても面白いんですけど背景のせいで文字が見にくいです。 (2022年7月10日 20時) (レス) @page39 id: be882aa841 (このIDを非表示/違反報告)
なーーみ(プロフ) - 愛之助さん» もう本当に感謝しかないです( ; ; ) ありがとうございます。 これからも頑張ってください。応援してます!! (2021年5月17日 22時) (レス) id: af11d71d69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大手裏剣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時:2019年9月29日 1時