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「簡単に入れたな」
「ええ、あちらも念の為追ったのでしょう」
岐阜城が見えてきた。門には兵、櫓にも兵。こちらの存在に気付いているようだ。潜入する訳では無いので隠れる必要もなく、正門へ進む。
そして、1人の兵が明智の馬の前に立った。
「光秀様、お戻りになられましたか!心配致しましたぞ!!噂では信長様に…というものもいたので…。
ところで、そちらの方々は?」
「心配か申し訳ない、こちらは何事もない。此奴は私の倅、明智
兵は黒い笠を上げ、俺の顔と高虎の顔を見るとすぐに笠を下げ、門を開けた。先ず、こんなとこで帰蝶だなんてバレたら話にならない。
全員馬から降り、門をくぐった。
長篠の戦いからは二、三日経った。残党狩りがまだ行われているだろう。城内で忙しく走るもの達は少ない。
「お久しぶりでございやすね!光秀殿!!」
「ええ、久しいですね羽柴殿」
羽柴秀吉。木下藤吉郎から改名した。織田の家臣丹羽長秀、柴田勝家の苗字からあやかって苗字を羽柴と改名した。前とは違って、身なりも変わり武功も上げてきたようだ。
「そちらさんが光秀殿の息子ですかい?これまた!光秀殿に似て麗しい顔でいらっしゃる!」
相変わらず、声がデカい。そして、出世も重ねてきたせいでなんというか、上の者にやたらとしつこいくらいにかしこまって褒める。
「…光栄です」
少し、頭を下げ顔を背けた。1度、バッチリと目が合ったのだが、そのとき秀吉は目を細めた。そして、はて。と言ったのだ。それなりによく顔を合わせることもあったからか、勘違いでも似てると思うかもしれない。
「秀吉殿、お話はいいですから、殿がお呼びなのですよ」
「ああ!!そうでございやした!」
後ろからひょっこりと出てきたのは、竹中半兵衛だった。見違えた。光秀も驚いていたようだった。
身長も同じくらいになって、少し幼げな顔は穏やかな顔になっていた。半兵衛は気付いてはいないだろうか、頭も切れるし、美濃にいた時から付き合いは長い。
「……僕が殿の元へ案内致します。行きましょう」
ずっと、無言で半兵衛は先を行く。すれ違う家臣達は光秀をみても特に反応は無い。そして、見慣れた大広間の戸の前に立ち止まる。半兵衛は振り返ると、中へ声をかける。
「殿、光秀殿がお戻りになられました」
「入れ」
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愛之助(プロフ) - そうです《自主規制》のひとりごとです^^ (5月21日 19時) (レス) @page39 id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - ま、まさか……薬〇のひとりごと……!? (5月21日 19時) (レス) @page39 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - 玲さん» 作品の目次ページにボタンとCSSて書いてあるとこでオフにして貰えたらノーマルになるのでお願いします〜🙏💦 (2022年7月10日 21時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - すいません。とっても面白いんですけど背景のせいで文字が見にくいです。 (2022年7月10日 20時) (レス) @page39 id: be882aa841 (このIDを非表示/違反報告)
なーーみ(プロフ) - 愛之助さん» もう本当に感謝しかないです( ; ; ) ありがとうございます。 これからも頑張ってください。応援してます!! (2021年5月17日 22時) (レス) id: af11d71d69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大手裏剣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時:2019年9月29日 1時