校舎裏の花壇２【プリスト】

５３.お休み ページ11

遊馬 side


「休み？」

花壇の前にしゃがんで作業をしていたいた怜治さんが振り向いた。何故か頬に土がついていて、アニキが苦笑ぎみにそれを見ていたとかは置いといて、俺は頷いた。
今日、咲羅が休みだったんだ。

「体調悪いらしいけど……」

本当かどうかはわからない。そう言うと、二人は微妙な顔をした。

「それは咲羅さんが意図的に学校を休んだと？」

楓が首を傾げる。そういうことだと俺は再び頷く。
理由はわからなくもない。

「唯一の楽しみがこれだもんな」

まだ少し荒れた部分が残る花壇を見る。咲羅はこの花壇が、まだ酷い状態のままだと思っているんだろう。

そして、もうひとつの楽しみも。

「自分から拒絶してんだよな」

アニキを見て呟いた。心なしか、咲羅が休みだって伝えたあたりから表情が暗いような。
不審そうに見返される。

「なんだ？」
「いや、なんでもない」
「ならいいが……ああ、遊馬、そっちを手伝え」
「へいへい」

毎回思うが、俺と他のメンバーとの扱いの差。命令形って。
不機嫌だからって俺に当たるのはやめてくれ。

アニキも、気になるなら話しかけりゃいいのにな。いや、そんな簡単なもんじゃないのか？
よく作詞で考えてるくせして、実際の恋心なんてさっぱりわかんねえ。
とりあえず、咲羅が復活してくれるよう祈ろう。心配なのもあるけど、じゃないとアニキの機嫌が悪いままだ。

あいつの気持ちを考えたら、それが正しいことなのか、学校に通うことがいいことなのかなんて、はっきり肯定できないけど。

明日は来るだろうかなんて考えながら、柔らかい土に手を触れた。

……あ、軍手着ければよかった。

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