・ ページ19
翔太side
あれよあれよという間に診察が始まる。
Jrなら1度だけでなく何度も通ってきたであろう“捻挫”
俺も例外ではなく、この診断を受けるのは初めてではない。
固定されてしまえば痛みも軽減されて、少しほっとする。
慣れているとはいえ、流石に痛い。
松葉杖の動きにくさも、やっぱ嫌いだ。
｢ほんっとなんもなくて良かった〜…！｣
涙目のラウールが抱き着いてくる
｢痛い痛い！お前でかいんだから考えろ！｣
ごめんなさーい！なんて謝る現末っ子に仕方ないなと笑う。
｢明日から少しの間迷惑かけるけど、許して｣
そう俺が言うと、バックアップはお手の物と言わんばかりの表情。
｢少クラの収録もまだ先だし、今はなんの問題もないから、ゆっくり治してこ。｣
｢でもホントびっくりしたんで、当分僕のこと構ってくださいよ！！｣
照が優しく言ってくれたのに、康二はいつも通りで
やだ！なんて言い合う。
｢でも、翔太がバク転で捻挫するなんて珍しいじゃん。久々だからきつかった？｣
ふっかからの問に、言葉が詰まる。
あの時、正直そんなに覚えていなかった。
普段通り踊ってはいた。でも、ぼーっとしていた
身体は覚えているから動いていても、頭と心は止まったままで、何も分からない。
これからもそういうことが起きるのかと思うと、言葉にできない恐怖が再び襲ってくる。
その時、背中にトンっと暖かい衝撃が来た
｢やる前少しびびってた感じだったし、体が萎縮しちゃったんじゃない？久々だから俺も少し不安だった｣
俺が言葉を発する前に、涼太が言った。
｢全然わかんなかった。でも、舘さんが言うならそうだね。｣
流石幼なじみーなんて冷やかしを受ける。
でもきっとあいつは、あんなこと思ってないし、俺がそう思っているとも、思っていない
俺を振り返った涼太は、優しく微笑んでいた
俺の現状を、あいつは、あいつだけは理解していた
この底知れない恐怖も、心が追いつかない不安も
何もかも、分かってくれていた。
それだけで、今までの不安が全て消化されていく気がした。
｢…涼太。｣
普段呼ばない名前で呼ぶと、周りがざわつく。
ゆり組…！！なんていう阿部ちゃんの声は知らんぷり
｢…ありがとう｣
天邪鬼な俺からの、素直な感謝の言葉。
それだけで、あいつは全てを分かってくれる。
幼馴染なんて、皆が思うほど特別じゃない
けど、きっと、やっぱり、なんか特別。
治ったと思って動き回ってたら治療伸ばされたのは、ごめんなさい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 749人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パイナップル(プロフ) - リクエストお願いしたいです！舘様が自分が高熱だと分かっていたのに無理して倒れて皆に看病してもらった後に治ったふりをしてまた倒れて皆に説教される話が見たいです！看病のメインは翔太くんでお願いします！ (2020年3月27日 11時) (
レス) id: ec2780e711 (このIDを非表示/違反報告)
プリン(プロフ) - リクエスト失礼します。阿部ちゃんが体調不良で看病はふっかさんと照くんでお願いします！ (2020年2月17日 16時) (レス) id: 6697620264 (このIDを非表示/違反報告)
魔理沙 - 佐久間くんと館様が2人とも体調悪いのを隠していて、仕事中に2人とも倒れてみんなで看病するという話をお願いします。 (2019年12月16日 7時) (レス) id: 3fca4c7b24 (このIDを非表示/違反報告)
るるみ - 康二くんが疲労から倒れて、過呼吸になるのをお願いします。看病は岩本くん、舘様でお願いします。 (2019年12月14日 19時) (レス) id: 579ffd5296 (このIDを非表示/違反報告)
海樹(プロフ) - こういうお話好きです 無理しちゃうけど、メンバーが支え時には止めてくれる、そんなメンバーの絆にほろりと涙ぐんじゃいます。 愛されnbさん、可愛いです (2019年11月25日 23時) (レス) id: 0a9b62f6e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凛 | 作成日時：2019年11月17日 13時
