Snowtime

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｢ちょっとちょっとー？俺らもいるんですけどー｣
拗ねたようにふっかが言うと、続々とメンバーがその後に続く。

｢もう！阿部くん俺らもいるでしょ！緊張も楽しみも9人皆で味わうんです！一人で抱え込まんでください｣

何故かちょっと涙ぐんで怒ってる康二に阿部ちゃんが笑う。

｢そうだね、ごめん、1人で怖くなってた｣

｢1人じゃないっすよ、阿部くんは。それに、阿部くんがいるから、俺らも1人じゃない。9人だから、俺たちは｣

目黒のその言葉に、全員が息を呑む
当たり前のことかもしれない。誰かがいるから、1人じゃない、なんて。
でもその当たり前をこんなに真っ直ぐに言葉にするやつがいただろうか。

｢ｯ…お前、言うようになったなぁ！｣
ふっかが声を震わせながら目黒の頭を撫でる

そんな姿を見て、阿部ちゃんは楽しそうにしていた

この調子なら、きっとあと少しで始まる本番も大丈夫そうだな。
目が合った涼太にニッと笑い返す

その後まわってきた自分たちの番では、誰も失敗することなく終わることが出来たと思う
皆の表情もどこか晴れやかだ

｢阿部ちゃん、お疲れ様！｣
そう言いながら背中を叩く
｢佐久間も、お疲れ様｣
優しく肩を叩かれる

なんか、その関係があったかくて。
無意識に頬が緩んだ。


きっとこれからも、沢山沢山乗り越えなきゃ行けない苦しみはあって。
辛くて投げ出したいこともあるんだろうけど

9人でいれば、大丈夫な気がするんだ


俺の勘でしかないけど、きっと大丈夫



そんな俺たちの姿を見て、先輩が微笑んでくれていたことを、俺たちはだーれもしらない。


｢あいつら、やるようになったじゃん。｣




end

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