Snowtime

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佐久間side

阿部ちゃんがおかしい。

何がおかしいかって言われると上手く伝えらんないけど、なんか、違う。
いつもの冷静な阿部ちゃんに見えるのに、どっかおびえてるようにも見えて。

話しかけた時も、いつも通りの穏やかな雰囲気の中に何か違うものを感じた

もっと、ちゃんと見てあげていたらよかった
あの子は、強くなんてないのに。

｢阿部ちゃん？！｣
ふっかの声がして咄嗟に振り向く。

そこには、苦しそうに息をするあべちゃんがいた


｢阿部ちゃん！大丈夫だよ、俺の真似して息して｣

壁際に阿部ちゃんを座らせて、出来るだけ苦しくない姿勢をとる。
先輩方にも迷惑にならないように。気をつけながら。

阿部ちゃんを強く抱き締めて、俺の胸に手をおかせる
大袈裟なほど大きく息を吸って、吐いてを繰り返す
なかなか落ち着かない阿部ちゃんの呼吸に、焦りが募っていく。

｢佐久間。佐久間が焦っちゃダメだよ。大丈夫。阿部を支えてあげて｣

俺の背中をトンっと涼太が叩く。
その一言に、心が落ち着く気がした。
今阿部ちゃんを助けられるのは、俺しかいない、そんな気がして。

｢阿部ちゃん。大丈夫。何も怖くないよ。大丈夫｣
頭を撫でながら、怖くないよ、怖くないよと囁く
俺の気持ちが届いてきたのか、少しずつ呼吸の波が落ち着いていく。

｢ｯは…は、さく、ま…｣
体を震わせながら涙をこぼす阿部ちゃんを、そっと抱え直す。

｢緊張しちゃったね、俺もだよ。でも大丈夫。俺には阿部ちゃんが居るし、阿部ちゃんには俺がいる。｣

俺ら、シンメっしょ？
なんておどけながら言う。

そう伝えると、阿部ちゃんは笑った。

｢っ…ふふ、そうだったね。佐久間が、居た｣
｢うんうん。俺が居るよ。｣

ちゃんとそばに居るから。そう伝えながら頭を撫でる

｢もう苦しくない？大丈夫？｣
｢…うん。少し辛いけど、さっきほどじゃない。｣
その表情は、嘘を言っているようではなさそうで、ほっと胸を撫で下ろす。

｢佐久間がいてよかった。｣
その言葉がちょっと照れくさくて、鼻をかく

｢佐久間、ヒーローでやんすから！｣

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