Snowtime

君がいれば___ab ページ14

阿部side

今日は先輩達も沢山出演する音楽祭
俺達も滝沢歌舞伎で披露した曲を歌わせていただける貴重な機会だ。
盗めるものはいくらでも盗みたい

今だって、普段なかなか関われない先輩方がいる
こんなにも一同に集まる音楽番組がある事が、とても幸せなことのように感じる

｢阿部ちゃん何見てんの？そんなぼーっとして｣

下から声が聞こえて見てみれば、佐久間が大きな目で不思議そうに見上げていた

｢何でもないよ。こんなに先輩方が沢山いるなんて凄いなって思ってね。｣

ですなあーなんて緊張とか全くしてません、というようなのほほんとした声が返ってくる。
こいつのこの大舞台でも凛としていられる姿が少し羨ましくなる。

俺は、緊張で吐きそうなのに。

楽しそうに三宅くんと話してる翔太や、宮田くんと話す佐久間。
各々が時間を潰す中、俺だけは動けなかった。

生放送。

それが、酷く重くのしかかる。
Snow Manを知ってもらえる機会は今はまだとても少ない
その1発1発が重大な意味を持ってくる。

ジャニーズそのものをよく思わない人達もいる中で、名前も知らないJrが出てきたらどう思うだろうか
そんな奴らが失敗なんてしたら、どう思うだろうか

俺の失敗で、Snow Manが悪く言われたら…

知らぬ間に握り締めていた掌には、爪痕がくっきり残っていた。

やらなくちゃいけない。
そう分かっているのに、身体が動かない
練習しないと、間違えないように
そう思えば思うほど、頭はパニックになっていく

落ち着け、落ち着け、落ち着け

｢…っは…ｯ｣

分からない。どうすればいいのか。
苦しい、怖い

｢阿部ちゃん？！｣



朦朧とする意識の中で、俺を呼ぶ声が聞こえた

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す