８ ページ8
TH「まぁ、座りなよ。」
テヒョン様に促され、机を挟んでテヒョン様の前にある椅子へと座る。
TH「そんなに警戒しないでよ。」
『警戒されるようなことをしたのはテヒョン様です。』
TH「だって、ただのキスじゃん。」
『っはん！？ただのキス！？
キスってもんは、好きな人とするもんです！！！！！』
そう言ってやれば、テヒョン様は目を細めて笑う。
TH「そうだったね。キスって、本当はそういうもんだったかもね。」
なんでこの人は、泣きそうな顔で笑うんだろう。
昨日も思ったけど、テヒョン様は常に笑っている。
けれども、常に泣きそうだ。
こんなに泣きそうな顔で笑っている人を、私は初めて見た。
TH「でも、俺は違う。
キスはしたいと思った時に、したい人とするもんだよ。
好きな人とだけしかキスできないなら、俺は一生キスなんてできない気がする。」
椅子に座って頬杖をつき、ニコッと笑ってそう言った。
『それって、どういう意味ですか？』
TH「どういう意味だろうね。」
ニコニコ笑っているテヒョン様に、溜息をつく。
私は何故、ここで、王様とそんな話をしているのだろう。
TH「Aはさ、好きな人とかいるの？」
その言葉に、ドキリと心臓が跳ねる。
好きな人。
『好きな人…ですか。いいいいいいませんよ。』
TH「Aさ、嘘が下手くそなんだから、もう嘘つくの辞めたら？」
『まじですか。』
TH「へぇ。どんな人？」
どんな人…かぁ。
どんな人だろう。
『優しい人、ですかね。
優しくて、あたたかくて、私の命の恩人です。』
ユンギ先生を頭に思い浮かべる。
彼に、私は救われた。
彼に出会って、私は初めて、生まれてきてよかったと思った。
TH「命の恩人？」
『ちょっと、寝るのが好きすぎるのが玉に瑕ですけど。』
TH「ふふ、それ、ユンギじゃん。
A、ユンギのことが好きなんだ？」
『誰も、ユンギ先生が好きとは言っていません。』
TH「でも、寝るのが好きって、ユンギしかいないよ。
ユンギはいつも寝てるもんね。
まぁ…一時、眠れなくなってた時期もあるみたいだけど。」
眠れなくなっていた時期？
よくもまぁそんなに寝れるなって思うくらい回診や治療をする時間以外は眠っているユンギ先生が眠れなかった時期？
『まさか…恋煩い！？』
TH「違うよ。なんでそういう思考になるの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1939人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のぞみ(プロフ) - ユンギ先生の悪い顔。。。控えめに言って好き。あーあーあー幸せ。 (2021年2月10日 0時) (
レス) id: 6ce2d3bb22 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)あねら(プロフ) - まゆうさんの作品本当に大好きです（ ; ; ）いつも読ませていただいてます。これからも頑張ってください！ (2021年2月5日 1時) (レス) id: 83ec8b03b3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 王様いろんな女の人と毎日のようにって、もう〜。グクにもヌナが居て満たされていたし。一方でジミンさんはどんな感じだったんでしょうか。ジミンさんにも浮いた話があれば良いな、いつも切なそうだから気になってしまいました。 (2021年2月4日 10時) (レス) id: 26ef055a5c (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - この物語本当好きです、、毎回更新されるたびにどきどきしてます。これからも楽しみにしてます...!! (2021年2月3日 21時) (レス) id: 2505ec8573 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ(プロフ) - あぁ、苦しい、苦しいよまゆうちゃん。このシリーズはほんと切ない。でも好きなんだ。好きなんだよ。まゆうちゃん。サランへ (2021年2月3日 2時) (レス) id: 6ce2d3bb22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まゆう。
| 作成日時：2021年1月14日 21時
