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撮影が終わって着替えて、Aさんに挨拶しに行こうと探してたら何やら外が騒がしいなと。
覗いてみればまた追いかけっこ中のジェシー。
他のメンバーも混ざっちゃってさ。
俺も混ざりたいところだけど、足はAさんに向かって進んでる。
北斗「Aさん」
A「松村さん！お疲れ様です！」
北斗「もう帰っちゃいますよね？」
A「はい、これ片付けたら帰ります」
北斗「手伝います」
A「え？！それは悪いです！」
北斗「いいから」
Aさんはまた何度もすみませんって…。
北斗「俺、Aさんのこと知りたいです」
A「え…」
もしかしたら今日で会うことはしばらくないかもしれないし、もうないかもしれない。
そう思ったら時間がなさすぎてストレートに言ってしまった。
北斗「すいません、引きますよね」
A「いえ。でも私のこと知っても何もいいことないですよ…？」
北斗「俺が知りたいって思ったら、それで良くないですか？Aさんが知られたくないなら聞かないですけど…」
A「そう…ですね。大丈夫です。えっと…」
Aさんは丁寧に自己紹介してくれた。
年齢は30歳。
全然見えないけど娘の美愛ちゃん(漢字も教えてくれた)が4歳だっていうから、そのくらいのお子さんがいてもおかしくない年齢か…と。
花屋はお母さんのお店を週末に手伝ってる程度で普段は工場勤務らしい。
北斗「仕事掛け持ちってキツくないですか？聞く限りお休みもなさそうだし」
A「花屋はお母さんのお店だから気楽にできるんです。確かにお休みはあんまりないけど…働かなきゃなんで仕方ないんです」
北斗「どういうこと？」
A「うち、母子家庭で…」
そこまで衝撃的ではなかった。
出会った時には美愛ちゃんの存在は知ってたわけだし。
詳しく聞けば、美愛ちゃんが2歳の時に離婚して以来、二人で暮らしてて。
両親には頼りたくなくて、家は別々だけどお店は手伝わせてもらってるらしい。
でもそれだけじゃ生活できないから、普段は工場で事務の仕事をしてる。
そんな小さい身体で色んなこと抱えてたんだ。
Aさんの事情にどうこう思うより、Aさんのことを守りたいって思った。
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作者名：苺花
| 作成日時：2021年4月8日 11時
