言の葉NOTE (ページ6)

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『臨太朗さん。あ、ありがとうございます。
　卒業式に来てくれて』

なんか、お礼を言わなきゃいけないような
気がした。
今までの分とこれからの分。

「そうそう！もう一個あった。
　ありがとうとごめんなさいが言えれば
　間違いないから！
　ね。Aちゃん、良くできました」

そう言って、あたしの頭をポンポンと
優しくなでてくれる。

いつもだったら子供扱いしないでよって
手を払いのけてもおかしくないのに。
不思議と臨太朗さんの大きな手は
嫌じゃなかった。

へっくっしょんっっ。

「もう、風邪引いちゃうよ。
　お腹すいたからさ、あったかいもの
　食べに行こ」

『あははは。そうですね。
　美味しいスープカレーとかどうですか？』

「おおー、いいねえ。行こ行こ！
　お祝い、お祝い！
　Aちゃん、20歳になったら一緒に
　お酒飲みに行こうね！」

『まだ2年ありますけど』

「ふふふ。あっという間だって」

『えー、やだー。おばさんになっちゃう』

「....おばさんって....」

「4月から東京で大学生やるんでしょ。
　準備すすんでる？」

『はい。家もネットで絞りこんでて。
　りんさん、東京行ったら
　色々手伝ってもらえますか？』

「もちろんだよ！
　じゃあ、その辺の作戦会議もしないとだね」

『宜しくお願いします』

「Aちゃん、東京くるの楽しみー」

あたしがちゃんとした大人になれるのは
まだ先かもしれない。

だけど、こんなに期待でドキドキしてるのは
さっき臨太朗さんが言ってくれた
大丈夫のおかげ。

大丈夫、大丈夫。呪文みたいに呟いた。

うん、大丈夫は強い！

独りで東京に行くのは怖くもあったけれど
また臨太朗さんに会えるんだと気付いたら
安心と楽しみな気持ちでいっぱいになった。

Fin.

*