言の葉NOTE (ページ48)

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バイトのお店以外で彼女に会うのは初めてだ。
大学も同じなのに、ばったり会うこともない。

だからなのか、とても新鮮で緊張する。
いや、なに年下の子に緊張してんだ。
俺がリードしなきゃ。

そんな時、俺達二人のスマホが鳴った。

『あ、松井さん！』

到着したのは

「パンケーキ屋？」

人気店らしいこの店は
人が溢れかえっていたけれど
秀平が予約をしてくれてたらしく
すんなり入れた。

席について一口水を飲む。

少し遅れると秀平からメッセージが来て。
俺の元にだけこの店の地図がついていた。

とりあえず、この場所に行けばいいんだよな。
詳細を何も聞いてなかった俺は
こっそり覚えて相澤さんを案内した。

「すごい、流行ってるんだね」

『そうなんですよ。
　私1度来てみたかったんです。
　何年か前にオープンしてから
　ずっと人気店みたいですよ。
　リピーターも多いって聞きます』

相澤さんは普段は冷静で
しっかりしてる感じなのに
よっぽど嬉しいのか、いつもより
可愛らしい気がする。
女の子って面白いな。

周りを見渡すと、流石に女子ばっかりで
男子はあっちの席に座ってる
カップルくらいか。

黒色のブレスレットをしてる彼女と
ちょっと目が離れた彼氏。
......。

『女の子ばっかりで、居心地悪いですか？』

「え？ああ、いや、大丈夫だよ」

いかんいかん。また気を使わせてしまった。
なにやってんだ、俺。

『松井さん、この前誕生日の歌
　ギターで弾いてくれて
　ありがとうございました。
　さすがバンドマンですね』

「いや、結構間違えちゃって申し訳ない。
　もうちょっと練習しとけば良かった」

あの日の事を思い出したのか相澤さんが
そうですねと笑った。

お、今、結構いい雰囲気じゃね。

「ごめんごめん。お待たせー」

なのに、何でこいつはこのタイミングで
やって来るんだ！

秀平は席に着くと慣れた様子で
ささっと注文してもう一度謝った。

「何の話してたの？」

『松井さんのギターの話です』

ふーんと、チラリとこっちを見る秀平。

「Aちゃんはさ
　何か好きな曲とかあるの？」

『あ、今ハマってるバンドがあって！
　知ってます？』

「あー、知ってる知ってる。いいよねー」

.......。盛り上がってる二人。
会話に入りたいのだが
Aちゃんお気に入りのバンド知らない。
あー、俺のバカ。何で知らねぇんだよ。

*