言の葉NOTE (ページ44)

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Lamp close / アフタートークページ44

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『香住さん、表の電気消しときました。
　片付けもあらかた終わりです』

「ありがとうございます。
　では、少し付き合ってもらえますか？」

ホールは消灯、間接照明だけにして
このお店の象徴である青色のランプを
カウンターにのせる。
今日はバイトの相澤さんの誕生日を
ご一緒のお客様とお祝いした。
店内をもう少し可愛らしい装飾に
したほうが良かったかなと少し思った。
うーん。でもサプライズだったしな......。

「どうしました？吉瀬さん。神妙な顔して」

『いえ。相澤さん喜んでましたね』

「はい。お祝いのお手伝いができて
　良かったです」

スツールに腰かけてカウンターの
中にいる香住さんと向かい合う。
私の分のビールを受け取って
軽くグラスをあわせた。

『はあ。おいし』

「あはははは。相変わらず見事な
　飲みっぷりですね」

一気にグラスの半分位飲んでしまった。
香住さんと閉店後にふたりで飲むのは
数えるほど。
滅多にないことだから、ちょっと
テンションあがってる。

他のバイトの子達とは、仲良く
やっているけれど未成年だし。
私がお酒好きなのがバレてから
こうやって早くお店が終わったり
香住さんがご機嫌な時に
開催される、ちょこっと飲み会。

今日はとっても楽しい時間を
過ごしたからもう少し余韻に
浸りたくて開催されたんだろうな。
美味しそうにビールを飲む
香住さんを見ればわかってしまう。

私も一緒だけど。

『いい子達ですよね。みんな』

「はい。相澤さんの東京での最初の
　お誕生日に一緒にお祝いをして
　あげられて本当に嬉しいです。
　初めては一回きりですから」

『一緒のお客様も、ただいまって
　仰ってましたね』

「僕はこの店をお客様が自分の家みたいに
　過ごしてくれたらいいなって思って
　いるんです。例えば実家みたいに」

お酒を飲んで上機嫌になると始まる話。
何度も聞いたことあるけれど
全然飽きずに聞いていられる素敵な話。

『お帰りなさいって何かいいですよね。
　あったかくて』

「はい。そう思います」

香住さんのふんわりとした笑顔は
私をドキドキさせる。
料理人らしからぬ長い前髪から
覗く瞳はとても優しい。

『ホントに私なんかがこんな素敵なお店で
　働けるなんてどうかしてますよ』

照れ隠しでたたみかける。

『私、昔パチンコ屋で働いてたんですよ。
　その次は居酒屋で。
　このお店みたいな華奢なグラスじゃなくて
　どでかいジョッキを危なげなく
　運んでたりして』

*