言の葉NOTE (ページ36)

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Round 2 ページ36

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4限終わり。
日直の私は前の授業の課題ノートを
職員室に持って行って戻ると、教室の前に
人だかりが出来ているのに気づいた。

友達のトモちゃんが慌てて私に
駆け寄ってくる。

「Aっ、兼近先輩と知り合いなの？」

私の教室の前にいた人だかりの原因は
兼近先輩だった。

え、なんで？恐れおののいている私を尻目に
彼が私に気付く。

「A。全然、図書室にこないじゃん。
　待ってたのに。
　本持ってきてやったから放課後
　手続きに来いよ」

そう言って本を差し出すから、受け取った。
......この前と一緒。強引だなあ。

だけど、わざわざ持ってきてくれた事に
びっくりする。

あの日以来、図書室には足が向かなかった。
あの場所に行かなければ、もう会うこともないと思っていたのに。

先輩が去って人だかりがなくなって、本を手に持ったままぽつんとひとり残された。

放課後になって、言われた通り
手続きに向かう。

今度の本は前回より薄くて
女性が作者の本だった。

「お、来た来た」

嬉しそうに私に声をかける。
......この人のこうゆう所って
いろんな人を誤解させるだろうなと怪しむ。

『わざわざ、教室までくるなんて』

「本が見つかったから
　早く渡したかったんだよ」

なんで私なんかにそこまでするんだろう。

『彼女さんは、今日大丈夫なんですか？』

「......別れた」

『......ええっ？なんで？』

「知らねぇよ。なんか勝手に怒って
　別れるって言われた」

『何に怒ったの？』

言いにくそうに、ごにょごにょ小声なのが
可愛いと言ったら呆れるだろうか。

「......Aって呼んだから」

『え？わたし？』

「呼び捨てにするって、そんなに親しいのか。
　あの子を好きになったのか
　私の事はもういいのかって
　取りつく島がないって感じで。
　こっちも、プチんとキレちゃって」

『嘘でしょ。ちゃんと言えばいいのに。
　好きなんでしょ？彼女さんの事』

「付き合ってって言われたから
　付き合っただけ。好きかどうかなんて
　分からねぇし。だけど、人の事あんな風に
　言う子は嫌い」

『好きでもないのに付き合ったんですか？』

「期待されたら、答えたいタイプだからオレ」

そんな胸を張って言われても。
.....なんか、いろいろ拗れてるなあ。

「Aはさあ、もう恋愛はいいって
　言ってたじゃん。
　だから、オレに付き合ってとか
　言わないでしょ？
　友達になってよ。
　Aの事気に入ったからさ」

*