涙花▽臨太朗 ページ4
*
『おじさん、ちょっといい
加減やめてくれない？
めっちゃ恥ずかしいんだけど』
「だって、Aちゃん...」
『何で、あたしより先に泣いてんの？
意味わかんないし』
「だってさあ。こんな感動する事ある？
自分の時だってこんな泣いてないよ」
『...いや、知らないし...』
「あの、小ちゃかったAちゃんが
こんなに立派になって...」
...立派になんてなってないよ、全然。
だいたい高校卒業したくらいでなに
感動する事あるんだろ。
それに、あたし達が会ってた時って
確かにあたしは幼稚園児で小さかったかも
しんないけど、あなたも小学生だったって
聞いてるよ？
「...あとAちゃん
おじさんっていうのやめて」
『...はいはい、すみません。臨太朗さん』
「りんさんでもいいよ」
...ああ、もうめんどくさい。
これもそれも、うちの薄情で仕事人間な
両親のせいだ。
別に都合が合わないなら
ほっといてくれてよかったのに。
いつもそうしてる癖に。
臨太朗さんも、臨太朗さんだ。
昔、少し世話になったからって理由で
知り合いの娘の卒業式の為に
北海道迄くるかね。
お陰でこっちは友達にどんな関係なのか
問い詰められて困ってしまった。
父母しかいない会場に若くてそこそこ
イケメンいたら、そりゃあ
女子達は色めきたつわ。
思わずおじさんって言っちゃったけど
この年の差で正解だった？
りんさんが老けて見えるのか
あたしの友達がアホなのか。
....深く追求するの、やめよ。
それでもうちの両親の代わりに
善意で来てくれたんだから
感謝はしてますよ。だけど....泣く？
当の本人より先に泣かれたら
ひいちゃうんだけど。
『りんさん、とりあえず帰らない？』
友達の目を避けてグラウンドのベンチに
腰かけてます。
「そうだね。って、寒っむ。
こっちってまだ真冬じゃん。
東京は桜咲きそうな位暖かだったのに。
ん？なんでうちらここに座ってんの？」
『3月の北海道をなめないで下さい。
何で、ここにいるかって
りんさんが、泣き止まないからでしょ。』
「....Aちゃん、こわー....」
本州なら、卒業式、入学式は桜ってイメージ
なんだろうけど、ここじゃ、雪か
ぬかるんだ道しかないわ。
両親の仕事のせいで、静岡、東京、北海道って
生活を移してきたけれど、あたしは早く自分の意思で動きたい。
早く大人になりたいと思っている。
「あ、なんか、桜色の頭の子が歩いてる」
*
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作者名：瑠海 | 作成日時：2021年2月20日 13時
