言の葉NOTE (ページ23)

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▽ ページ23

*

『ねえ濱くん。
　私ちゃんと濱くんを支えられてるかな？』

私にもたれてた濱くんが全体重をかけてきた。
...おもっ。

「支えてもらってんで。今」

『いや、物理的な支えじゃなくて！』

ふはははは。と、楽しそうに笑って。

「Aは、側におって
　笑っててくれてたらええねん」

『え、でも....』

「俺が、ええって言ってるんやから、ええの」

役にたってないと言われているようで
少しへこむ。

「それやったら俺も聞くわ。
　俺は、Aを不安にさせてない？
　会えへん日が続いたりするの、辛くない？」

『え、でもそれは、仕事だから仕方ないし』

「俺はそんな風に我慢させるの嫌なんやけど」

私は、忙しい彼を支えてあげたいと
ずっと思っていた。

少しでも休んで貰えるなら、会う時間を減らしてもいいとさえ
...そりゃ、本音を言えば寂しいけど。

彼は彼で、私の事をそんな風に
思っててくれてたなんて。
嬉しすぎて、なんかその事実だけで
やっていけそうだよ。

『ね、私は大丈夫だよ』

「ずっと言いたかったことあんねんけど」

...え、まだ、あるの？どうしよう。
なんかこわい。

「........」

『........』

「一緒に住まん？」

『........』

びっくりすると人って言葉が
出てこないんだな。初めて知った....。
ぱちぱちと瞬きを繰り返す事しかできなくて
フリーズした。

「A、嬉しいのは分かるけど、返事は？」

『へ、嬉しいって....？
　あはははは、自分で言う？』

「返事っ！」

『あはははは、はい！住みます！』

嬉しくて可笑しくて涙が出て止まらなかった。

「そんだけ笑ったら喉も乾くやろ。
　一口いる？」

『ありがと』

何も考えず一口貰う。
う、ハイボールだった。苦手。

顔をしかめて缶を戻すと苦手やったよなあと
楽しそうにぐびぐび飲む濱くん。
....わかっててやってる。
でも....。

濱くんはまた、ふははっと笑って。
その靴可愛いなと言ってくれた。

『そうなの。一目惚れして買っちゃって。
　この色がね...』

一緒に靴を見て話を聞いてくれてるもんだと
思って隣を見ると
すぐ近くに顔があって頬に手を添えられた。

そのまま唇があわさる。

「間接キスからのキース！
　Aの考えてる事、まるわかりやから」

2回目は、苦しくなるほど激しくあわさった。

「このまま家に連れてかえろかな」

『また私の事、犬みたいに...』

「犬やろ。で、俺が猫」

ふたりで顔を見合わせて笑った。

*