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そんなとき、河井氏から連絡が来た。
この前のお礼に、打ち上げの飲み会だが一緒に飲まないかと。
ご馳走するとの一言で、行くことに決めた。
少し遅れていけば、すぐに直樹が迎えてくれる。
周りを見れば知った顔もあり、気を使わなくていい飲み会だった。
ありがたい。今日はガンガン飲ませてもらって
嫌なことは忘れてしまおう。人の金だけど。
直樹はずっと隣にいてくれる。
中身のない話が、今は心地いい。
「稲田！注文！」
「もー、河井さんは人使いが荒いー」
確かに今日の河井氏は、何となくいつもと違う。
お酒のペースも早いし、言葉もきつい。
「ゆずる、荒れてません？」「まあまあ、今日はそっとしといたろ」
奥で話してるのは、確か秋山さんと水田さんだったっけ。
「そういえば、この前彼女さんとデートしたんでしょう？」
「行ったよパンケーキ食べてきた。美味しかったよ」
「ラブラブですね。だけどベタやなあ」「なんなん信二。
喧嘩うってんの？」「ふふふふ」
あ、そっか。今日23日。明日イブだ。
グラスに残ったお酒を飲み干す。
「Aちゃん、次なに飲む？」
『あ、じゃあ同じもの』
「稲田！」
『あ、大丈夫、大丈夫。自分で注文するから』
何か、荒れてるの見てられない。
「あ、あのAさん、ちょっといいですか？」
『え、どうしたの直樹』
「ちょっと、こっち来てほしいんですけど、外に....」
『？何か、あるの？』
「稲田！何してんねん。Aちゃん、どこ連れてくきや」
「あ、河井さん....ちょっとだけAさん、お借りしても？」
「だから、どこ行くねんて。....だいたいお前、この前遅刻しよって、
だらしないねん。昔っから、そうやろ。全然成長してない、最低や」
『............』
「おい、きいてんのか。迷惑かけんないうてんねん」
『................』
冷静に、冷静に。
ああ、でも....。
『河井さん！言い過ぎです。直樹、昔はちょっとだらしない所
あったかもしれませんが、今はちゃんとしてるでしょう？
この前寝坊したのだって久々だったし。
仕事にも真面目に向き合ってるし、そんなとこ相方として
河井さんの目にも入っているはずですよね』
『河井さんはなんなんですか？
クリスマス前に彼女にフラれたからって直樹にあたるの
やめてください』
....................あ、言っちゃった。
反撃に備えて、体を固くする。
だけど河井さんから出た言葉は意外なものだった。
....
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作者名：優朱 | 作成日時：2020年12月8日 21時
