SNOW SMILE (ページ46)

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程よく溶けたチョコに生クリームを加えて滑らかになるまで混ぜる。

混ぜたそれをトレーに入れ冷やして固める。

「え？それで終わり？」

『はい。二時間くらい冷やして切り分けたら出来上がりです』

「二時間かあ」

『食べたかったですか？』

「え？あ、うん。ちょっと期待してたかな」

悪びれずそう言うから、年上の人なのにかわいいな

なんて思ってしまう。

『試しに作ったやつありますけど、食べます？』

「食べたい！」

即答する彼にクスクス笑いながら、珈琲といっしょに出してあげた。

「おいし」

目を閉じて味わってくれてる。大袈裟ですよって笑った。

珈琲を一口飲んで、かちゃりとカップをソーサに置いた。

「あのな。ホントは賢ちゃんに頼んでん。

Aちゃんと話させて欲しいって」

一回息をついて秋山さんは続けた。

「オレと付き合ってくれへん？あ、お試しとかでもいいし

Aちゃんが嫌じゃなかったらやけど....」

だんだん小さくなる声で、最後の方は聞こえずらかった。

『何でわたしなんですか？』

ふたりで話した事なんて、これが初めてだと思うのに。

「ずっと前から、賢ちゃんにAちゃんの話聞いててん。

良いことも、悪いことも全部。そのたびに、会ってみたいなって

気になって」

「で、最近Aちゃんが楽屋来てくれたり

飲みの席に来てくれたり会える機会が増えていって

オレが思ってた通りの子やなって嬉しくなって。

まあ、そんなんで好きになったっていうか....」

また、語尾が小さい。

「どう？」

『....わたしで、いいんですか』

『わたし....結構川西と誤解されること多くて』

わたしが今まで付き合った人は、いつも川西と距離が近いのを

理由に離れていった。いくら幼馴染みだと説明しても

信じてもらえなかったし、いつも責められた。

わたしにとって川西は、家族も同然だけど

つい優先してしまう。....そこが間違ってんのかな。

「Aちゃんにとって賢ちゃんは家族みたいなもんなんやろ？

賢ちゃんもそうやんな。いつもAちゃんの話して

正直妬けるけど。賢ちゃん、好きな人いてるし。知ってる？」

『あ、OLの人？』

川西は、いつも気になる人ができたら会わせてくれる。

今度の彼女は飾らなくて正直な人だった。

料理が苦手なのをあけすけに話してくれたのを覚えている。

「うまくいきそうやって」

『そうですか、良かった』

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