癒される日々 【文スト】 【双黒】 【短編集】

少年と少女の赤い月　〔十五歳中也〕 ページ6

※若干の過去捏造

〜〜〜



月明かりの下、少年と少女が踊っていた。
それはそれは華麗な踊りであった。一ステップごとに幾つもの目を釘付けにし、会場を薔薇色に染め上げた。
BGMは悲鳴、断末魔、銃声、金属同士のぶつかり合う音、他の人々のばたばたと五月蝿く品の無い足音。

やがてBGMが止み、辺りは静寂に包まれた。それと同時に少年と少女の踊りも終わった。

重力すら我が物(虜)にし、空中をも舞っていた少年も地上へと戻り、血濡れたアスファルトに両足を着けた。
自分の背丈よりも大きな大鎌を器用に操り、薔薇の花弁を散らしていた少女も大鎌に付いた血を粗方拭い、刃を仕舞った。

「…終わった、か？帰ろうぜ、A」

ふぅ、と一息ついて、少年は少女に声を掛けた。
だが、Aと呼ばれた少女は夜空を見上げたまま動かない。

「A？どうかしたのか？」

少女の視線を追い、少年も夜空を見上げた。二人の視線の先には、大きな真紅に染まった満月が。

「おぉ…凄ェな。あ、此れ、ストロベリームーンって云うらしいぜ？確か前に柚杏がそう云ってた」

少年は少女に歩み寄り、彼女の隣に立ってそう云った。

「…違うよ」

少女が云った。



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