とある冬の朝 〔太宰〕 ページ49
午前7時30分。
冬の朝の空気は冷え込み、生物の動きを鈍らせる。
「治〜!まだ〜!?」
「待ってよ、A〜。あとちょっとだってば」
扉や服の隙間から入り込んでくる冷気のせいで指が悴み、靴が中々履けないらしい太宰。外で待ちながら、「寒いぃ〜!」と嘆く、その恋人のA。
彼らは、枯れ葉も寒さに凍えるこの真冬に、温もりを求め合って同棲を始めたらしい。
二人は途中まで通勤路が同じのため、___Aの通勤路の途中に武装探偵社があるのだ___最近は毎朝、一緒に通勤しているのだ。お蔭で太宰がサボることがなくなり、国木田は大助かりだとか。
「お待たせ、A〜。うぅ、寒い」
「本当に。って、包帯巻くのはプロ級のくせに、マフラー巻くの下手だね!」
「これじゃ隙間から風が入って寒いでしょ〜」と云いながら、Aはちゃきちゃきと太宰のマフラーを巻き直す。身長差があるため、後ろの方にマフラーを巻くとき、少し背伸びするのが、小動物を彷彿とさせて何とも可愛らしい。
まだ雪こそ降っていないものの、霜が降りたらしい。雑草の上を歩くと、ザクザクという音と感触がして面白い。Aは一歩余分に歩いたりし、霜柱を存分に楽しんでいた。
「今日は一段と冷えるねぇ」
「霜も降りたしね〜。夕飯は…鍋にでもする?何鍋がい____」
「蟹!!蟹!蟹!」
「ざ〜んねん。今家に蟹は無い」
「そっ……そんなっ……!」
「そんなにショック受けること?」
大袈裟な反応をして見せる太宰に、Aはクスクスと笑う。楽しそうなAを見て、太宰も微笑。入水の回数も減るものだ。
そうやって駄弁りながら暫く歩くと、武装探偵社に着いた。
「じゃあまた夕方ね、治」
と云ってAが太宰に手を振ると、太宰は
「社まで送るよ」
と、まるで当然の如く云う。そしてAに
「はいはい、仕事サボろうとしないの」
と云われて
「行ってらっしゃい、治」
「行ってきまぁす」
太宰が渋々昇降機に乗るのを見届けると、Aは自分の勤め先へと再び歩き出す。
私たちから感謝とお願いっ ※必読→←心に幸せが満ちてゆく夜 〔中也〕
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ!すみません・・・コメントできなくて・・・!えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです! (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか?それとも、気づかないまま…ですか? (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました! (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嘘吐き姫 | 作成日時:2019年10月14日 15時