庇い愛 〔太宰〕 ３ ページ41
Aを抱きしめている太宰の腕は、微かに震えていた。
弱々しく紡がれたその言葉の持つ響きは、切実だった。
「勝手かもしれないけど、私を一人にしないで、Aちゃん」
何ともあざとい声色だ。
聞く者の心を絡めとって隙間に入り込み、庇護欲を掻き立てる…そう、まるで、可愛く甘える幼子のような。そんな感じ。
「…どうして、私…なんですか」
どうしてそんな事を、ただの後輩である筈のAに云うのか。
そんなものの答えは、太宰の中ではとうに決まっている。
「好きだから」
ただ、それだけ。
「好きだから、死んで欲しくない。…ダメかい？」
「そんな風に云うなんて、狡いですよ、太宰さん……
私だって、太宰さんのこと、好きです」
Aはふわりと頬を紅く染め、抱きしめられたまま微笑んだ。安堵の滲む微笑だった。
太宰もAと同じように、彼女を抱きしめたままそっと微笑した。もう離さないとでも云いた気に、Aをぎゅっと抱きしめる腕に込められた力が、僅かに強くなる。
少しして二人の体が離れた頃、Aが問うた。
「そういえば太宰さん。私が倒れたとき、すごく心配してくれてたって、本当ですか？」
気恥ずかしそうに、相当焦っていただろう数時間前を思い出しながら、太宰は答えた。
「…本当だよ。当然だろう？好きな子が、私のせいで撃たれてしまったのだよ？心配しないわけない。それに、＿＿＿
Aちゃんが死んじゃうかもしれないって思ったら、それだけで怖かった」
表情を曇らせた太宰は、少し震えた声でそう云って、さらに続けた。
「だからもう、私を庇って無理しちゃダメ。
死ぬか生きるかの、無謀な賭けに出ちゃダメ。
いいかい？私との約束」
「…でも私は、太宰さんと違って、頭より先に体が動いちゃうから…」
＿＿それは約束出来ないです。
そう続けようとしたAを黙らせるように、太宰は一つのキスを落として。
「ならその時は、私が君を守るよ」
.
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (
レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ！すみません・・・コメントできなくて・・・！えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです！ (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか？それとも、気づかないまま…ですか？ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました！ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嘘吐き姫 | 作成日時：2019年10月14日 15時
