癒し屋 〔太宰〕 ページ34
A今夜、空いてる?
太宰空いているよ。今夜はどうしたの?
A今夜は甘えたい気分なの。
太宰いいよ、おいで。今直ぐかい?
Aそうだとありがたいかな。頼める?
太宰勿論。
・
A着いたよ。
「入り給え。少し散らかっているけれど、勘弁してね」
「いつものことでしょ」
「それで、何かあったのかい？ああ、話したく無ければ、話さなくて構わないよ」
手を引き、抱き寄せ、優しく撫でる。
棘のある言葉にも優しく返信。
冬の外気の寒さから、母の胎内のようにあたたかい室内。
世間の糾弾を逃れ、安住の地へ。
「今夜は死にたい気分なの」
「そう」
「今なら心中、付き合ってやってもいい」
乱れた髪も手櫛で解かされ、崩れた化粧は見えなくなる。
一日履いていた高いヒールは脱ぎ捨てられる。
投げ遣りに呟いた一言は、此処では非難されることも無し。
着飾った白が黒い裸体を露わす。
「今は気分では無いよ」
「そう」
「今は君を抱きしめて居られるからね」
「物好きは損するよ」
「そう？私は得しているけれどね」
静かに口づけが降る。
外では雨が降り出した。傘を持っていないから、今夜は帰れそうにない。
雨の日のストレイドッグ。晴れの日のドメスティックキャット。どうか、恨まないで。
「…………」
「…………」
大粒の雨が窓硝子に煩く叩きつけられる中、口から溜まった泥を吐き出す。
それは汚くて、邪魔で、出来れば誰も欲しくなんて無いもの。でも必要で、誰もがそれを溜め込んでいる。
だから時に、こうして、それが溜まったコップやらバケツやらをひっくり返さなければならない。
「大変だったね」
「…………」
「苦しかったね」
「…………」
「ツラかったね」
「…………」
「悲しかったね」
「…………」
「でも大丈夫。君はまだ頑張れるよ」
「…………」
「こんな私だって、まだ頑張れているのだから」
「…………」
枯れそうな赤に恵みの雨。萎れそうな青に恵みの陽。
一度、透明になってみて。
私は、貴方だけの癒し屋。
・
A昨日はありがとう。
太宰君の為ならあれくらい何でもないよ。今日は大丈夫かい?
A大丈夫よ。ありがとう。
Aああ、それと。
太宰何だい?
A傘は、これからも要らないからね。
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (
レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ！すみません・・・コメントできなくて・・・！えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです！ (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか？それとも、気づかないまま…ですか？ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました！ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嘘吐き姫 | 作成日時：2019年10月14日 15時
