この子を守るためならば 〔中也〕 3 ページ3
「判らないですって!?信じられない!!そんなの貴女が彼の_____中也さんの恋人だから決まってるじゃない!!私が準幹部まで上り詰めたのは、全て中也さんに近づくためだったのに!だのに中也さんは私の方を向いてくれなかった!!挙げ句の果てにはアンタみたいな最下級構成員が恋人!?どうして、どうしてなの!?私はこんなに頑張ったのに!私の方が、アンタなんかよりもずっと前から、中也さんのことが好きだったのに!!ずっと中也さんだけを、見つめてきたのに!!!」
そこまで云うと、彼女はゼェゼェと息を切らした。
彼女の声は、さして広くもない廃屋の中で幾度も木霊した。
暮山準幹部の想いは、痛いほどよく判った。もし逆の立場だったら、私もこう思ったと思う。
彼女は息が整うと再び始めた。
「でもね、今までは良かったのよ。まだ奪う余地があったもの。
だけど私、聞いちゃったのよ。_________貴女、妊娠したんですって?」
暗く地を這うような声で彼女が云う。
そして、彼女は赤いタンクを持ってきた。中身は恐らく、
ガソリン。
「…まさか、」
成る程、よく考えたものだ。
此処を焼野原にして私を殺し、此処に残る証拠をも全て消す心算か。
それに、運良く私が助かったとして、私が沢山煙を吸い込めば、お腹の子が死ぬ。
彼女がカポッと蓋を開け、ガソリンを私の周りにバラ撒く。ガソリン特有の臭いが鼻をつく。
「ふぅ。貴女にはコレはかけない。精々周りの炎に、じっくりじわじわ焼かれることね!」
彼女は新しい玩具を与えられた子どものように無邪気に笑った。
そして懐から拳銃を取り出し、
「一応鎖もあるけど…逃亡防止ね」
と、私の両脚を撃った。
「うあぁ゛っ…!」
「うふふ、点火〜」
彼女がそう云うと、彼女の手から点けっぱなしのライターが滑り落ち、ガソリンに引火した。
その炎はみるみるうちに広がってゆき、彼女の嫉妬の如く燃え上がった。
* * *
「なッ…!?Aが、妊、娠…?」
「そうじゃ。それと、今部下から報告があっての、Aが連れ去られたと思われる廃屋があるのじゃ」
「本当ですか!?」
「ああ。じゃが…その廃屋に火が点けられたらしくてのぅ」
「!?」
「部下も既に向かわせておるが、恐らくAは大丈夫じゃろうて。彼奴の生命力は中々のものじゃからな。問題は…」
「腹ン中の子、って事ですか」
紅葉の話を聞き、奥歯をギリ、と鳴らした中也。
「俺も向かいます。場処は?」
「そう遠くない。此処から…」
ーーー
次へ…
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ!すみません・・・コメントできなくて・・・!えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです! (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか?それとも、気づかないまま…ですか? (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました! (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嘘吐き姫 | 作成日時:2019年10月14日 15時