君の言葉で 〔太宰〕 ４ ページ14
本当なら今直ぐにでもA救出作戦を立案し、準備ができ次第、敵のアジトへ突入するべきなのだ。
実際、国木田は乱歩と相談しながら作戦を立ている。だが、そこに居るべき最も重要な人物が欠けている。
太宰だ。
彼は今、乱歩の推理と同じくらい重く、Aの誘拐の事態をさらに重くする事実を知って混乱状態に陥っている。
* * *
「ナオミ!」
「兄様!」
探偵社の扉を勢いよく開け、ナオミが戻った。
「Aは私に…一体何を伝えようとして……あぁ、A。君は私に、云いたいことがあるって…」
放心状態で一心不乱に繰り言を云い続ける太宰。谷崎はそれを心配そうに見つめ、ナオミに尋ねた。
「ナオミ、何か知らない?」
ナオミは少し悩んだ。
心当たりは無論あるのだが、それを自分の口から伝えてしまっても良いのかと戸惑ったからだ。だが、今がそんな悠長なことを云っていられる状況でないことも判りきっている。
「太宰さん。落ち着いて、よく聞いてください」
ナオミはソファに座って繰り言を云う太宰の前に屈んで、太宰と目を合わせた。そして、落ち着いた声で告げる。
「Aさんは、貴方との子どもを身籠もっています」
太宰の表情は目を見開いたまま凍った。
「本、当かい…?」
震える唇で太宰は問う。
「勿論ですわ。Aさんが、嬉しそうに話してくれましたわ」
ナオミは力強く頷いてそう答えた。
ナオミの瞳に強い意志が燃え輝く。
太宰と合わせられたその瞳が、太宰の中で"彼女"と重なる。
太宰が惚れた、偶に莫迦で、猪突猛進な彼女と。
「そんな…っ!私は…、私のせいで、Aだけじゃなく…っ…子どもの命まで危険に…?」
太宰は初めて自分の前職を恨み、呪った。
守りたい命が自分のせいで危険に晒されることへの恐怖と、自責の念が、太宰の意識を混乱に導き、心の錯乱に閉じ込めていた。
* * *
スパァァァン!
Aの誘拐で張り詰めた空気の探偵社で、突如響き渡った衝撃音。
それは国木田が太宰の後頭部を痛打した音だった。
「貴様は莫迦だな。Aよりも莫迦だぞ」
唐突に国木田はそう云い放つ。
ーーー
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嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (
レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ！すみません・・・コメントできなくて・・・！えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです！ (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか？それとも、気づかないまま…ですか？ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました！ (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嘘吐き姫 | 作成日時：2019年10月14日 15時
