検索窓
今日:27 hit、昨日:20 hit、合計:64,971 hit

君の言葉で 〔太宰〕 2 ページ12

「何か有名なスナック菓子の宣伝文句みたいなの入ってるけど…。
でも、そっか、私の知らない処でまでそんなことが…」

少し頬を染めたAに、ナオミがニヤつきながら云う。

「ふふ、だからきっと大丈夫ですわ。太宰さんが今よりも更に執拗く国木田さんに惚気る姿が目に浮かびますもの」

「それはそれで申し訳ないけどねぇ… でも、ナオミちゃんのお蔭で色々と吹っ切れたよ。ありがとう」

「いいえ、Aさんのためならこれくらい、何でもありませんわ」

そう云って笑い合いながら、二人は会計を済ませて探偵社に戻る準備を始めた。


「あ、Aさん。すみません」

「何?ナオミちゃん」

「私ちょっと御手洗を借りてきますわ」

「わかった。駐車場で待ってるね」

とナオミは喫茶店の中に戻り、Aは駐車場で一人待つことに。

手持ち無沙汰になったAは、ふと鞄の中の携帯電話を手に取る。
今直ぐ、一切の不安がきれいに消えてくれた状況で彼に妊娠を伝えてみようか。

そんな考えが浮かんでしまったら、Aはもう止まれない。太宰の反応が気になるという好奇心に負け、Aは通話ボタンを押した。太宰は1コール鳴り終わらないうちに応答した。

<やあ、A!今日は私ではなくナオミちゃんと昼休憩を取っているのだよね。…はっ、もしかして、急に私のことが恋しくなってしまったのかい?ああもう、A可愛いっ!>

「ん?んー…ちょっと違うけどそういうことにしておいてもいいよ。あ…あのね、治……」

<なぁに、A?>

優しい声で続きを促され、電話越しで話しているというのに、抱きしめられているような錯覚に陥る。

「私…治に云いたいことがっ…!」

だがその感覚もAの勇気を振り絞った声も、無粋な邪魔者によって遮られた。


Aの無防備な首に一振りの手が降ってきて、彼女の意識を奪う。
ガッと乾いた音をたててAの携帯がアスファルトに叩きつけられ、そのまま電源が切れた。画面には大きくひびが入り、部品も所々欠けてしまっていて、最早使えそうにない。

真っ黒な画面は、春の柔らかな印象を与える青空と、それには全く不似合いなA誘拐の瞬間をじっと見ていた。


壊れた電子機器は、何も語らない______。


ーーー
次へ…

君の言葉で 〔太宰〕 3→←君の言葉で 〔太宰〕


ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーアルファベット

X


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

嘘吐き姫(プロフ) - 大丈夫ですよ。了解致しました、謹んで書かせていただきます。レスありがとうございます! (2020年2月4日 16時) (レス) id: 346988f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
リアビーバ- - あっ!すみません・・・コメントできなくて・・・!えっと夢主ちゃんは二人の想いに気づいてないほうがいいです! (2020年2月4日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» どちらでも大丈夫でしたら、私が勝手に書いちゃいます…。 (2020年2月3日 23時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» 最後は夢主ちゃんは二人の想いに気づいた方がいいですか?それとも、気づかないまま…ですか? (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)
嘘吐き姫(プロフ) - リアビーバ-さん» リクエストありがとうございます、承りました! (2020年2月1日 16時) (レス) id: ad6d962da2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:嘘吐き姫 | 作成日時:2019年10月14日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。