手紙 ページ1
Aへ
Aがこの手紙を読む頃には、俺はもうこの世にいません。
初めてあったのは幼稚園で、何だこいつ、俺よりでけぇじゃねーかと、思ったのを今でも忘れません。
でも、身長は俺がすぐに抜かした。たぶん、小3ぐらいだな。あの頃は、お前は泣き虫がエスカレートして、毎日同じクラスだった俺が慰めていました。慰め疲れました。
中学校に入って、お前は劇的に変わりました。泣き虫がいつの間にか治ってて、社交性が出てきて、いつの間にか友達がたくさんいる人気者になりました。
その頃の俺は、ガンが発症して、入退院の繰り返し。ろくに学校なんか行けませんでした。でも、Aが毎日お見舞いに来てくれたから、俺は嬉しかった。学校なんか行かなくても良かった。毎日Aの顔が見られれば良かった。
そんなことを思いながら3年の月日が流れ、俺たちは高校生になった。高校生になると、ある程度の体力がついてくるのか、俺は退院できるようになった。
俺はもともと好きで、幼稚園からやっていたバレー部に入りました。たしかお前は、吹奏楽部だったな。音楽が好きで、歌ったり曲を作ったりするのが好きなお前にはぴったりじゃねぇのか？
音駒高校はレシーブに力めっちゃ入れてて、毎日こわい先輩のもとでレシーブ練習。辛かったけど、好きなことだからたくさん出来た。
3年生になったら、試合で活躍できるのが増えて、全国にも行けた。
Aも見に来てくれたって言ってたな。
でも、無理をしすぎたのか、俺はガンが再発した。
「もう治らない」医者に言われた。
「もう無理しないで」親にも言われた。
なんだよ、よってたかって絶望しか見てないなんて。
「手術、受けさせてください。」
俺が真っ直ぐ言ったら、お前は泣き始めた。泣き虫がまた来たみたいだった。
手術が成功すれば、お前はこの手紙を読む必要がないんだな。
お前の泣き虫の原因って、もしかしたら俺かもな。だとしたらごめんな。
最後に言わせてください。
君が好きです
ありがとう。
夜久衛輔より
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ましゅまろおれんじ | 作成日時：2019年3月9日 4時
