二番目の弟の話2 ページ12
最初に帰宅したのは兄のイルミだった。
出かける時は一夜干しの干物のようだった兄は、20年間天日干しにされた干物に進化していた。
漏れ出るオーラは完全に萎びていたし、ただでさえ無表情の顔は死人のように血の気がなかった。
ああ、アリアのお見合いは無事に成功したんだな。
イル兄の見るも無残な様子から、家族は姉のお見合いの成功を悟った。
イル兄はすぐ下の妹であるアリア姉を大層可愛がっていたらしく、その過保護ぶりは成人した今も引き継がれている。
あわよくば嫁になんか出さずに手元に置いておきたかっただろうから、その無念さは計り知れない。
すっかり意気消沈して自室に閉じこもるイル兄とは対照的に、仕事を終えて帰宅した渦中のアリア姉はいつもと何ら変わらずの通常運転だった。
少しは色恋とやらを意識して女子力が上がっている訳でもなければ、お見合い相手と電話をする様子もない。
結婚を意識して少しは女らしくなったのでは、と期待していた母はどことなく残念そうにしていた。
弟のカルトも姉を心配していたようで、いつもより姉の近くに行きたがった。
やれアリア姉の手を握っては「お仕事はどうでしたか？」だの「何か食べたいものはありますか？」だの執拗に付き纏っていた。
あれでは完全なストーカーである。
兄も大概だが、カルトも相当なシスコンだ。
夕食の時間になり、家族皆で顔を合わせての食事中もカルトはちらちらとアリア姉の顔色を伺っていた。
そんな所謂チラ見をしていたカルトと真逆だったのが、お見合いに同席していた兄・イルミだ。
アリア姉の顔を穴が開くほどガン見してはため息をつき、暇さえあればアリア姉の一挙一動を見ていた。
これにはさすがのカルトもドン引きしていたが、敢えて何も言わずに健気に姉の注意を引いていた。
イル兄があそこまで沈没するなど前代未聞。
これは当事者のアリア姉にお見合いのことを聞いた方がいいかもしれない。
そんな風にミルキが逡巡していると、タイミング良くアリアがミルキを手招きした。
これは詳細を聞くチャンスだ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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(名前)(プロフ) - めっちゃ面白くて1番右の星押そうと思ったんですけど間違えて反対押しました。懺悔致します。続き、待ってます。 (2020年1月22日 19時) (
レス) id: ee36327b5d (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ - もう本当に面白かったです。いつの日か続きが読めることを楽しみにしてます! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
こけし(プロフ) - 霧ちゃんfight！ (2017年8月24日 11時) (レス) id: 7f4d6f5010 (このIDを非表示/違反報告)
零 - もうヤバイです 笑いが絶えませんww 最高です！ 夜中なのにめちゃめちゃ笑っちゃいましたw 更新頑張ってください 待ってます！ (2017年8月16日 1時) (レス) id: 102168a696 (このIDを非表示/違反報告)
カタミ - やけに面白いなと読んでいたら、あの旅団の師匠シリーズの作者さんだったのですね！私、1・2年前くらいに読んでました!!これからも頑張って下さい!! (2017年8月9日 20時) (レス) id: ebc33a095d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霧月 | 作成日時：2017年2月15日 13時
