悲しみの街 ページ22
「エリザさんが、亡くなった…？」
聞こえたままに、復唱をするしかない。
言葉には出していても頭では理解が追いつかない。
Aは目の前が真っ暗になるのを感じていた。
笑顔でAたちを迎えてくれたエリザが。嬉しそうにはにかむエリザが。祠へと向かうルーフィンの背中を見つめていたエリザが。
どう見ても元気そうな様子だったじゃないか。
「亡くなったって…どういうことだよ」
言葉を失ったのはAだけでなくセフィロスも同じようで、やっとのことで声を絞り出す。
ライトとアンジュは伏せていた目線を上げ、ぽつりと語った。
「…ルーフィン氏を家に送り届けても、エリザさんが出迎える様子がなかった。誰よりも彼のことを心配してたろうし、飛び出してきてもおかしくないはずなのに。…何となく変な予感がして、俺たちも彼と一緒に家の中に入ったんだ。リビングには誰もいなかった。……寝室のベッドで、動かないエリザさんの姿があるだけだった。」
「…そんな」
Aの言葉を遮ったのは、いつになく力無いアンジュの声。
「私たちだって疲れて眠っていると信じたかった。でも声を掛けても目を覚まさない。生気のない顔色、冷たく固まった指先、…いくら胸に耳を当てても聞こえない鼓動。エリザさんは既に亡くなっていたの。私たちが、あの病魔を倒す前に。」
次第にアンジュの声が震えて、最後はほとんど掠れて聞き取れないほどだった。
______自分たちが関わった人間が、死んだ。
その現実は、元天使である彼らに重くのしかかった。
_______________
Aたちが祠から帰った翌日。
教会の前に佇む墓場には、エリザの死を悼むためにベクセリアの民が集まっていた。
小さな街とは思えないほどのたくさんの人々が、皆悲しみを堪えながらエリザの墓の前で祈りを捧げる。
エリザの父である町長ロナルドは、啜り泣く妻___エリザの母を支えながら墓の横に立っていた。口々に掛けられる慰めの声も、彼の耳には殆ど届いていない様子だ。
人間だけでなく、命あるものには死がやってくる___老いてはゆくものの寿命知らずな天使とは違う、地上の生き物の運命。
守護天使になる上で耳が痛くなるほど師匠から聞かされ、彼らにとってもそれは常識だった。分かっていたつもりなのに、元天使たちはいざ自分たちが大切な誰かを亡くすなんて考えてもみなかったのだ。
_____エリザの墓前から人気がなくなったのは、悲しみに包まれた街を柔らかく照らしていた太陽が山向こうに隠れた頃だった。
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Mayu(プロフ) - ルリリさん» ルリリさんありがとうございます！そのお言葉が嬉しくて筆を進めてしまいました。素敵なパーティですね、パラディンとバトマスかっこよくて大好きです！ (2021年6月11日 1時) (
レス) id: 0dae578ed3 (このIDを非表示/違反報告)
ルリリ - 更新楽しみにしてます！この作品すごく好きです！ドラゴンクエスト9の小説少ないので嬉しいです！！がんばってください！私のパーティー(ラルル(私）パラディン、マティカ・バトルマスター、イクミン・魔法使い、アーミッツ・僧侶）です！ (2021年4月9日 22時) (レス) id: b909ab9878 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - あいかさん» コメントありがとうございます！既にストーリーエンドまで構想を練っておりますので最後まで書き続けるつもりでおります。是非楽しんで頂ければと思います^ ^！ (2017年11月23日 11時) (レス) id: 6fc3705b77 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - わらびもちさん» わらびもち様、コメントありがとうございます！亀更新になりますが楽しんで頂ければ幸いです^ ^！ (2017年11月23日 11時) (レス) id: 6fc3705b77 (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - この小説は、まだまだ続きありますか？最後まで読んでみたいので更新待ってます！頑張ってください！！ (2017年9月2日 7時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mayu | 作成日時：2014年11月2日 20時
