ある日常の記録～軍師と女戦士の場合～２【ドラクエ11 ホメロス落ち】 (ページ9)

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ハロウィン３-祭りの喧騒の追憶３ページ9

「ああ。おどけている様でいて、他人の心を察する力にも長けていた。私も心の内を言い当てられて焦ったのは１度や２度の事ではなかったな」

店はあらかた回り、一等地区へ続く階段が見えてきた。

「うわぁ、すごい賑やかですね！あっ、あっちで何か面白そうなのやってるぞ！早く来いよ、ホメロス！」

陽が沈みかけ、空が紅く染まっている城下町。
ぽつりぽつりと街頭や出店の灯りが点き始めている中、デルカダールの祭りは初めてだと言うグレイグがはしゃいだ声をあげた。

「グレイグ！あまり突っ走るなよ、危ないだろ？」

半ば呆れながら諫めるホメロスの傍らで、マルスが穏やかな笑みを浮かべて言った。

「まだ大して回っていないのに楽しそうだな。…グレイグはもう大丈夫そうだな、立ち直ったみたいだ」

息子を見る父親の様な目をするマルスの言葉に、デルカダールに来たばかりのグレイグがいつも不安そうに瞳をキョトキョトさせ、寝静まった夜にバンデルフォンで亡くした両親を呼んで泣いたりしていたのを思い出す。
鬱陶しいと思いつつ、その反面で心配して本を読んでやったり菓子を分けてやったりしたなと内心溜息をつき、今は屈託なく笑う親友を見てよかったなと密かに微笑んだ。

あの頃は消えそうなくらい儚く、ちっぽけでやせっぽちだった。
そうだったのに…

「ホメロス、お前何か悩んでいるのか？」
「え？」

またもや心を読まれた様に良すぎるほどのタイミングで尋ねてきたマルスに、ホメロスはどきりとした。

「お前はいつも表情をうまく取り繕うから、一見気付きにくいんだが…ここ最近眉間にしわが寄っていた気がしてな。私の気のせいか？」
「え…と、その…」

咄嗟に否定できない自分をホメロスは恨めしく思った。
これでは肯定している以外の何物でもないではないか。
そして、自分は意外と不意を突かれた状況に弱いのだと言う事も改めて自覚する破目になった。

「ん？話しづらいか」

無理して聞きはしない、雰囲気と視線でそう語るマルスに、ホメロスは心の頑なな部分が徐々にほぐれていくのを感じた。
自然と、言葉が口を突いて出る。

「…追い越されそうなんです」
「追い越される？」

マルスに訊き返され、顔が赤くなると同時に羞恥が込み上げてきたホメロスは、俯きながら言った。