ある日常の記録～軍師と女戦士の場合～２【ドラクエ11 ホメロス落ち】 (ページ49)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:21,546 hit

交差する光と闇7（完結）ページ49

腕の力を少し緩めて、Aと向き合う。

尊敬していた、今は亡き近衛隊長マルスの娘で、そして英雄ネルセンの血を引く女。
あの時ウルノーガが気にしていたのは、Aにネルセンの気配を感じ取っていたからだったのだろう。

ウルノーガに屈し、忠誠を誓っていたあの頃は生まれ育ってきたデルカダールを始め、これまで持っていたものは全て捨てたつもりだった。
だがこのAだけは、ふとした時に気にかかり、死なせたくないと感じた。
ウルノーガの元へ下らせるなど考えただけで虫唾が走る。

そんな感情に疑問を覚えながらもAへの想いに気付いた時、それができていなかった事を同時に知り、ウルノーガへの忠誠と激しくひしめき合った。
結果として大樹でウルノーガに切り捨てられ、Aへの想いだけが残った。

経緯を考えてみると情けない事ではあるかもしれないが、何よりもかけがえのないものを手に入れる事ができた。
そして愛おしい女はそんな自分とその愛を受け入れてくれた。

自分の生ある限りは、この愛を、この温もりを決して放すまいと思う。
ホメロスは目元と口元に柔らかな笑みを浮かべ、Aを再び抱き寄せた。

「さて、今宵は休むとしよう。今から朝が来るまでは、俺たちは宰相と軍師ではない。―――夫婦だ」

夫婦と言う言葉にAはまた顔を赤らめ、だが微笑んで頷いた。

「はい、―――あなた」

甘い吐息と言葉と共に、唇が重なった。

――――――――――――――――――

あとがき

ウルノーガの誘惑に抗いから屈するまでのホメロス将軍と夢主の話でした。
最終的に屈してしまったホメロス将軍ですが、最初からウルノーガに下ったのではないと思うのです。

言葉だけならともかく、強い魔力で同時に誘惑されて忠誠を誓った、と言う風に作者は解釈しております。
こちらは主にホメロス目線で書かせていただきました。