検索窓
今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:21,550 hit

海底王国奇譚5 ページ18

「いいのです、ホメロス」

セレンは遮る。

「私には、貴方の未来が2つ見えていました。初めは、完全に魔に堕ちて、貴方の姿は強力な魔物と化してしまった。ですが、イレブンが時を遡るのが見えた時、貴方の姿はまるで違うものとなった。―――そう、本来の誇り高さを取り戻し、イレブンやグレイグと手を取り合う姿です。そして、もう1人大切な方とも取り合う事が出来た様ですね」
「…はい」

ホメロスが返事をする隣で、セレンに見つめられてAはどきりとした。

「A、貴方とホメロスの事も、地上に降る雨や雨上がりの雫を通して見ておりました。どの種族でも、誰かが誰かを想い、想われるのは尊いものですわね」
「…はい。あの場でホメロス将軍を失っていたら、それを知らずに悲しみに満ちたかもしれません」

セレンは深く頷き、傍らに控える人魚の1人に命じた。

「イレブン達を宿屋に案内して差し上げなさい。隅々までこの王国を見たいと言うのでしたら遠慮なく私におっしゃって下さいね」

後半部分をA達に言うセレン。
A達はセレンに頭を下げ、玉座の間を後にした。

「じゃあここからは各自自由行動にしましょ!みんなパートナーと水入らずで過ごしたいでしょうし。アタシとアリスちゃんは決してお邪魔しない様にしているから安心して。はい、解散!」

片目を瞑りながらシルビアが言った。
辺り一面水だらけなのに水入らずって言うのも、何だか妙である。
それはさておき、シルビアの言葉を合図に、夫婦、恋人2組は宿屋に荷物を置き、早速王国見物に出かけた。

自分たちが滞在する宿屋は砂を固めて組み立てた様な構造になっており、赤や黄色、様々な色合いのサンゴ礁が水に揺られて踊っていた。

辺りを歩いてみると、確かに身体に水が触れている感触があるのだが、不思議な事に衣服を着た上でずぶ濡れになる際の不快な感覚は全くない。
それどころか、水の浮力で一歩一歩が軽く感じられる程である。

思い切って飛び跳ねてみると、普段の倍近く、この王国内で限って言えば天井と思われる地点までの半分ほどまでに届いた。

「凄い。本当に水の中なのね!」
「お前、物珍しい気持ちは分かるがはしゃぎすぎだぞ。それに隅々まで見たい場合は申し出ろとセレン殿に言われていただろう」
「そうだったわね。早速行ってみてもいいかしら?」
「好きにしろ」



「それで早速いらしてくださったのですね。分かりましたわ。それでは…」

海底王国奇譚6→←海底王国奇譚4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:ドラクエ11 , ホメロス
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年10月31日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。