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海底王国奇譚4 ページ17

陽が射さない深さまで立ち入ったはずだが、泡から発せられる光で辺りの風景がよく見渡せた。

ゆらゆら揺れる海藻の間を、色とりどりの美しい魚たちが優雅に泳いでいる。

「素敵…海の中ってこんな風になっているのね」
「ああ…あのハープがなければ、見る事は叶わなかったな」

Aとホメロスは地上ではありえない光景の美しさに、目を見張る。
一行の旅行気分に水を差したり、少しの揺れも生じる事なくA達を乗せた船は、やがてムウレアに辿り着いた。



「イレブン、ようこそいらっしゃいました」

ムウレアに足を着いたイレブン達は、魚人達の歓迎を受け、女王の間に案内された。
玉座に腰かけていたのは、透き通る様な金の髪に優雅で美しい白い尾ひれを持った絶世の美貌の人魚、女王セレン。
その表情は荘厳さと慈愛に満ちており、初対面のAやホメロスですらすぐに心を許せてしまいそうな程だった。

「お久しぶりです、セレン様」
「は、初めまして。エマと申します」

穏やかに挨拶をするイレブンの横で、エマが緊張で頬を紅潮させながらぎこちなく敬礼をした。

「初めまして、エマ。お会いできて私も嬉しいわ。どうぞごゆっくりしていらしてね」
「は、はい!」

心を許せたのはエマも同じ様で、言葉に緊張はまだ含まれていたが、セレンへの親しみは少し離れているAも感じ取れた。
続いてセレンの前に進み出たのは、王女マルティナだった。

「セレン様、お久しぶりです。あの…もしよろしかったら女王としての心構えをお聞かせいただければと思いまして…!」
「ええマルティナ、喜んで。未来の女王となる貴方の助けになれるのならこれほど嬉しい事はありませんわ」

幸せそうに微笑んだマルティナは、Aとホメロスをセレン女王の元へ導いた。
マルティナに導かれるまま、A、続いてホメロスは前に出る。

「は、初めまして…デルカダールの騎士、Aと申します」
「同じくデルカダールの軍師、ホメロスと申します」

2人揃って頭を下げた。

「A、ホメロス。お会いできて嬉しいですわ。貴方たちが世界の平和の為に日夜奮闘している事は存じております。こちらでは存分に羽根を伸ばしていかれます様精一杯おもてなしさせて頂きますわね」

慈愛に満ちたセレンの言葉に、ホメロスは意を決した様に顔を上げる。
そして謝罪を述べ始めた。

「セレン殿、その説は、己の弱さに打ち負け、地上はおろかこの国まで危険に晒しかけ、誠に申し訳な―――」

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作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年10月31日 10時

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