海底王国奇譚１ ページ14
イシの村が復興した後の話。
勇者とエマは結婚しています。
今回はムダに長いです(汗
ホメロスと夢主のラブラブ度は軽めですがご容赦下さい。
―――――――――――
「それでは皆さん、まずはバンデルフォン近くの海へルーラしますね」
そう集まった者たちに告げると、イレブンは印を結び、ルーラの呪文を唱えた。
視界が歪み、気が付いた時にはデルカダール城と周辺の景色は全く見えなくなっており、代わりに広大な海に浮かぶ船の上にいた。
辺りを見渡すと、バンデルフォン特有の黄金の麦畑が遠くに見える。
「直接ムウレアへ行く事もできたんですけど、エマの希望で少し船旅も楽しめればと思ったので」
イレブンが少し照れた様子で弁明した。
傍らには同じく照れながら佇むエマの姿。
「イレブンから話を聞いて、ずっと行ってみたかったんです。ムウレアと、海も。ああ、でも！ムウレアって王国なんですよね？こんな格好でよかったのかしら？」
自分のトレードマークである赤いスカーフやらエプロンやらに手をやっていると、マルティナが宥める様に言った。
「大丈夫よ。セレン様は上品ながらとっても気さくな方だわ。それよりも…」
マルティナはエマに向けていた笑顔から眉を顰め、隣に立つグレイグを見やった。
「姫様、何か？」
「…なんでもないわ」
マルティナはそう言って顔を逸らしたが、Aとホメロスは彼女の言わんとする事が手に取る様に分かった。
グレイグの服装に異議を申し立てたいのだろう。
今日は双頭の鷲が刻まれたデルカダールメイルを纏っておらず、代わりに身に着けているのは世辞にもセンスがいいとは言えない旅装束。
私服は城から普及されたものしか持たず、夏場はステテコパンツ１枚で過ごす体たらく。
そんな風に服装には全く無頓着なのは知っていたが、邪神を倒す旅をしている間ずっとこんな格好だったのだろうか。
Aはマルティナに少しだけ同情してしまった。
恋人とは言え、いや恋人だからこそ服装にはもう少し気を遣って欲しいだろう。
めでたく恋仲となったのはよかったが、それゆえに、グレイグの服のセンスのなさは大きな悩みの種になってしまった。
心中密かに溜息を吐くグレイグを除いた一行の前に、パンパンと手を叩きながら現れたのは。
「はいは〜い！それじゃあムウレアに向けて出発するわよっ！」
「頼むよ、シルビア」
「もちろんよっ、じゃあアリスちゃん！頼むわよ〜！！」
「がってんでがす、姐さん！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遠山すずか | 作成日時：2018年10月31日 10時
