ハロウィン１-仮装魔物たちの祭典４ ページ2
「ロウ様！？酔ってらっしゃるんですか！？」
ほぼ全身を包帯で巻いたミイラ男姿のロウが顔を真っ赤にして、腰辺りからAを見上げていた。
その顔はすでに真っ赤になって出来上がっており、酒の匂いもする。
「おじいちゃん、やめてよ！すみません、Aさん。祭りの雰囲気に誘われるままにお酒飲んでしまったみたいで…」
「ロウ様やめて下さい！」
へべれけ状態のロウに気づいたイレブンが、狼男姿のまま駆けつけてきた。
マルティナも牽制する様に言う。
だが酔っている今のロウにはまるで効果がなかった。
「こぉおんな可愛くてセクシーなモンスター見てしまったら抱き着かずにおれんわい。ええのう、ええ腰しとるのう」
「ち、ちょっとロウ様っ」
みんなの呆れた視線など気にも留めずに顔をこすり付けるロウだが、唐突に後ろ首を掴まれてAから離れていく。
「ロウ様、一国の王族ともあろうお方が何をなさっているのです？いくら祭りとは言えいささか羽目を外しすぎでは？」
朗々たりながらも、底冷えする空気を含んだ声に、さすがのロウも一気に酔いが醒めたらしい。
若干青白くなり、よりミイラ男らしくなった顔色で声の主を見上げている。
ロウだけではなくその場に集まった全員が、息を飲んだまま言葉が出て来なかった。
特にイレブンは、なぜか酷く顔を引きつらせている。
ただ１人、例外ではぐれメタルのごとくすっ飛んできた人物がにぎやかな歓声を上げる。
「きゃあ〜っ、ホメロスちゃん！！アタシのデザインした衣装、似合っているじゃな〜い！！！」
そう、Aからロウを引きはがした人物――ホメロスは、漆黒と血の様な赤に彩られた道化師の様な衣装を身に纏っており、メイクだろうか顔を青白くしていた。
更に口元からは牙が２つ。
どうやら吸血鬼に仮装している様だ。
城下町の女達が見たら、飛び切りの美形吸血鬼に血を吸われたいと殺到するだろう。
だがAからすると、異様に様になりすぎていてむしろ怖い。
更に妙な事に初めて見た気がせず、ホメロスの背後に廃墟と化したデルカダール城が見えたのだ。
「Aちゃんもブラッドレディルック似合ってるわぁ！やっぱりアタシの見立ては確かねっ！！イレブンちゃんもカワカッコいい狼ちゃんに変身しちゃって☆ベロニカちゃんもセーニャちゃんもばっちり着こなしてくれていて嬉しいわっ。アタシって芸人だけじゃなくてデザイナーの才能まであるんじゃないかしら？？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遠山すずか | 作成日時：2018年10月31日 10時
