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ハロウィン1-仮装魔物たちの祭典7 ページ5

その感覚に身を任せるままホメロスの腕の中に閉じ込められて、温もりに包まれる。

「いつか、家族が出来たら全員で参加するのもいいかもしれないな」

ぽつりとホメロスが呟いた。

「ホメロス?」

Aに顔を見上げられて、弾かれた様に慌てて目を逸らす。

「何となく…言ってしまっただけだ。ハロウィンの空気に当てられたのかもしれぬな」
「…っ、そうね、いつになるか分からないけれど」

そのままお互いしばらく黙り込んでしまった。
気まずさに再びAがホメロスの胸に顔を埋めていると、やがてホメロスが沈黙を破った。

「そろそろ時間だな。広場へ戻るとするか」



「みんな集まったわね?それじゃあ行くわよ、セーニャ!」
「はい、お姉さま」

城下町の中央に位置する噴水広場。
ステージよろしく噴水のへりに足を着いて立っているベロニカの横ではセーニャが、自分の胴と同じ程の大きさの壺を抱えて立っている。

どうやら今日の祭りは宴たけなわの様だ。
名高き聖地ラムダの双賢の姉妹が何を始めるのだろうと、A達と国民が固唾をのんで見守る。

「皆さん、あたし達も聖地ラムダより祭典に参加させていただき、有難うございました。僭越ながらそのお礼に、この場を借りて皆様にささやかな幸せをお届けしたいと思います!」

ベロニカは大人びた口調で言ってセーニャを見やると、セーニャは心得たと言わんばかりに、壺の中に先端が大きく穴の開いた輪の形をしたスティックを差し入れる。
微かに泡立った水が付着したらしいスティックの輪に向かい、セーニャがふーっと、息を吹きかけた。

すると輪から、無数の小ぶりな水玉が発生し、次々を上昇していく。
それらに向けて、ベロニカが何やら呪文を唱えた。

ベロニカのしなやかな手から紫の、青い炎が生じ、水玉を順々に囲んでいく。
玉は割れる事無く炎を反射し、キラキラと怪しく可愛らしく輝いた。

その幻想的な光景に人々から歓声が、感嘆の溜息が漏れる。
感極まった1人の子供が噴水の方に飛び出してきて、玉の1つを取ろうとしたがうまく捕まえられない。

それを見たベロニカは捕え損ねた玉を指さし、魔力の壁で包み込んで子供に手渡す。

「はい、どうぞ!」
「…ありあとう」

舌足らずな口調で、顔を紅潮させた子供がベロニカを見上げてお礼を述べた。
大人たちからは再び歓声と拍手が、ぼくも、あたしも、と子供たちからは魔女の不思議な贈り物を欲しがる声があがった。

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作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年10月31日 10時

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