検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:21,643 hit

始まりの出会い2 ページ26

中庭に案内されたAは、温かい日差しと美しい花に優しく迎え入れられた。

「うわぁ、ホントにきれい!えと…マルティナ?」

先ほどの父の様子を思い出し、ためらいがちにマルティナを呼んでみる。
マルティナは満面の笑顔で返してくれた。

「なぁに?」
「ありがとう、こんなステキなところに連れてきてくれて!」
「ふふっ、どういたしまして。お花もいいけれど、もっと好きな場所があるの。来る?」
「うん!」

次に案内されたのは、何やら屈強そうな男達が剣を奮いまわしている広場だった。
兵士たちが全員剣を持って、ひとりで素振りをしていたり、対人で手合わせをしたりしている。

Aはその中でも、ある2人に目を止めた。
片方は紫髪の、長身で肩幅も広い逞しい巨漢の男、もう1人は腰まで伸びた金の髪を首元で結び、痩躯ながらも虚弱さを全く感じさせない、それでいて繊細な美貌を持つ…女性?

剣技を全く知らないAから見ても、この2人の腕が他の兵士たちの群を抜いているのがはっきりと分かった。
巨漢の男はその体格に相応しく、体重にありったけの力を剣に乗せて攻撃を仕掛ける。
対する美しい女性は見るからに重い一撃を器用に受け止め、巨漢の攻撃を跳ね返した。

「すご…い…」

Aが陶然と見とれていると、やがて2人がこちらの視線に気づき、訓練を中断してこちらに歩いてきた。

「姫様、またこちらにいらしたのですか。危ないから来てはなりませぬと…ん、その子は…」

巨漢に見つめられ、Aの身体が固くなる。
遠くから見ていても迫力があったのに、至近距離にいられてはその威圧感はかなりのものである。

「は、はじめまして、Aです…」

マルティナに少し寄り添いながら、Aは答えた。

「グレイグ、Aは私のお友達よ!大丈夫よA、グレイグはとっても強くって優しいの」

そう言って、尻込みするAの背中を押してくれる。

「A……おおこれは!マルス殿のご令嬢でしたか。不躾な真似を失礼いたしました」

グレイグと呼ばれた男は、Aの前で片膝を着いて頭を下げた。

「え、えっと…あの…そんなにかしこまらないでください」

Aはあたふたしながら、目の前の巨漢に話しかけた。
理由は自分でも分からないが、Aは目上の人に敬語を使われるのが苦手だったのだ。

「お父様はお父様、私は私ですから…」
「しかし…」

始まりの出会い3→←始まりの出会い1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:ドラクエ11 , ホメロス
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年10月31日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。